県、MICE単独整備へ 一括交付金活用を断念


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 沖縄県与那原町と西原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に県が整備を計画する大型MICE施設を巡り、県が国に求めていた一括交付金による予算措置を断念し、県独自の予算で建設する方向で検討していることが25日分かった。複数の関係者が明らかにした。2019年度の県予算に改めて調査費を盛り込み、2月議会に提案。県単独予算で事業が可能か検討する。

 大型MICE施設整備費の総額は約513億円。12年に調査事業が始まり、県は沖縄関係予算の一括交付金の活用を目指し、国と協議を進めていた。しかし、内閣府は事業の採算性などを疑問視して一括交付金の交付を認めず、17年度から事業は進んでいない。

 県の試算では開業6年目で施設の収支は黒字化、12年目には約3・9億円の累計黒字、経済波及効果だけでも603億円に達すると見込んでいる。

 県は翁長県政下で試算や県財政への影響、事業収支などを提示して国に再三理解を求めてきた。しかし、進展が見られないことから、昨年10月の玉城デニー知事就任直後から財源など計画の見直しに着手した。目標の2020年開業は困難となっているが、さらなる遅れを防ぐために県独自の予算措置で事業化を探る。他県と比較して沖縄県は起債が少ないことから、起債による建設も検討している。

 また、19年度の一括交付金は18年度当初予算比94億4千万円減の1093億3千万円となっている。5年連続の減額で、制度創設の12年度以降の最低額を更新した。一括交付金の減額に気をもむ市町村の不安を払拭(ふっしょく)する狙いもあるとみられる。

 (仲村良太)