オリオン買収 地元の理解 不可欠[解説]


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<解説>

 野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)とカーライル・ジャパンの両社はインタビューの中で、地元の理解を得ることの重要性を繰り返し強調した。オリオンビール株の買い付け予定数には下限が設けられており、それを下回った場合は買収は不成立となる。オリオン買収を成功させるために、経営参加後のメリットを強調しながら買い付けを進める狙いがある。一方で将来的な見通しに不確定要素も多く、今後も丁寧な説明が求められる。

 両社によるオリオン買収は「外資による乗っ取り」や「不動産目当ての買収」というイメージが払拭(ふっしょく)されず、「思いが十分に伝わっていない」(NCAPの前川雅彦社長)ともどかしさを感じている。株式買い付けの成否は株主の協力が鍵を握るため、オリオンの経営強化や海外展開の促進など、前向きな情報を積極的に発信して地元の理解を深めたい考えだ。

 ただ買収成立後にコストカットを理由にオリオンの協賛イベントや広告が減少するとの見方が出るなど、地元との関わりが薄れることへの懸念は残っている。前川氏は「まだ何も決まったことはない」としながらも「一定程度の見直しはあるはずだ」と説明する。

 今回の買収が酒税軽減措置延長の可否を左右する可能性もあり、仮に延長が認められなかった場合はオリオンの経営環境に影響を及ぼす。買収によってオリオンがどのように変化するのか、メリットとデメリットの両方を示しながら県民の理解を求めることも必要になる。
 (平安太一)