【中城】中城城跡の城壁に用いられている石材の中に「F」や「L」といった文字に似た印やかぎ十字などの記号のような印が刻み込まれたものがあることが中城村教育委員会の調査で2日までに分かった。城壁を築く際に刻み込まれた「刻印石」とみられる。県内では首里城で同様な刻印石が見つかっており、今回が2例目。刻印石に関する文献や伝承はなく、印の意味は分かっていない。専門家はグスクの築城過程を解明する糸口になると指摘する。沖縄の城郭研究に影響を与える発見と言えそうだ。
「刻印石」は城壁の補修のため、15世紀前半の石積みを解体する中で発見された。これまでに約30個が確認されているが、さらに増える可能性がある。石積み作業の際の何かの目印、もしくは石工など作業にかかわった人たちの何らかの意思表示とも考えられる。
県外では江戸城や大阪城で確認され、築造を普請した大名が家紋などを刻み込んだ例や作業上の目印とみられるものがある。首里城では久慶門東側の城壁などで「H」に見えるものや「+」などの刻印が発見されているが、その意味や彫り込んだ目的は分かっていない。
中城村教委は解体した石材の一つ一つの寸法や特徴を記したカルテを作成しており、今後、刻印のバリエーションを細かく分析する考え。城壁をレーザー測量でデータ化し、刻印石が組まれていた配置の規則性なども調べることにしている。 (新垣和也)