地盤工事で燃料消費増 辺野古 識者「環境負荷さらに」


この記事を書いた人 大森 茂夫
移設工事の埋め立て土砂投入が進むキャンプ・シュワブ沿岸部=名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、大浦湾に広がる軟弱地盤への対応を巡り、政府が地盤改良工事で船舶などの燃料消費量として重油が当初の想定より約25%、軽油が3%ほど増加すると予測していることが2日までに分かった。県環境影響評価審査会会長の宮城邦治沖縄国際大名誉教授は「燃料消費の増加により二酸化炭素の排出が増えるなど、大規模な工事で当然、環境負荷は増える」と指摘した。政府は大浦湾に約6万本の砂杭を打ち込む改良工事を検討している。

 防衛局が委託した業者の報告書によると、地盤改良工事では、海底に砂を敷く「トレミー船」と砂の杭を打ち込む「サンドコンパクションパイル船」「サンドドレーン船」など大型船を使用する。

 政府は燃料消費が増えるものの「作業船が同時期に重ならないよう工程を調整することで、対応できる」と付け加えている。

 宮城氏は「工程を調整すると工期は長期化する。だが実際に政府が実施しているのは、作業の集中化・時間短縮だ。『一日も早く造る』という政府方針からすれば、本当に工程を調整するか疑問だ」と指摘した。

 政府の資料は他にも大規模な改良工事に伴う大気汚染や騒音、水の濁り、海底振動、ジュゴンに影響する水中音などについてシミュレーションしているが「工程を調整することで対応可能だ」と強調している。

 新基地建設に対する抗議行動を続ける土木技師の北上田毅氏は「これまでも防衛局はずさんな工事をしてきた。海に投下する石材を洗浄すると言っていたのに、投下の度に濁りが確認された」と振り返り、「改良工事も始まってしまえば、環境保全対策の約束を無視して強行されるのは目に見えている」と語った。