【渡嘉敷】第14回とかしきマラソン(主催・同実行委員会、共催・渡嘉敷村、村教育委員会、国立沖縄青少年交流の家、村商工会、村体育協会、琉球新報社)は2日、臨港道路を出発して渡嘉敷小中学校運動場をゴールに行い、ハーフマラソンの部(21・0975キロ)男子は、初出場の萩原聖人(37)=神奈川県、青山学院大学陸上競技部トレーナー=が1時間23分50秒で栄冠をつかんだ。
同女子は諸見里綾(34)=南風原町、飲食店従業員=が1時間49分39秒で初出場初優勝を飾った。
10キロの部男子は古堅幸太(46)=国頭村、村社会福祉協議会職員=が38分58秒で頂点に立った。同女子は豊田京子(44)=那覇市、団体職員=が47分12秒で制した。
◇苦しい坂「箱根の勉強」 萩原
「渡嘉敷の坂が、箱根の坂のようだった」。箱根駅伝で連覇などの記録を残している青山学院大学陸上競技部でトレーナーを務める萩原聖人(37)が、前回優勝の大城絢也(38)=渡嘉敷村役場職員=を2位に押さえ、初出場で優勝を手にした。「アップダウンが続く、かなりつらいマラソンだった。箱根駅伝のコースに似ている。いい勉強になった」。頂点をつかんだレース直後でも、冷静に自身の走りを振り返った。
普段の練習から、勾配のきついコースを意識的に走る。アップダウンのあるコースは「得意な方」。今大会のコースには、最大高低差180メートルの“心臓破りの坂”があることも出走前から知っていた。
それでも「超えたと思ったらまた坂道。気温の違いなのか、これまで出た大会で一番きつかった」と予想以上に難しいコースだったよう。ゴール後、息が落ち着く頃には、課題の洗い出しを図っていた。
「箱根出場を目指す学生に必要なトレーニングのヒントがこのマラソンにはあると思う。来年も出たい。もちろん優勝もしたい」と連覇を誓った。
(嘉数陽)
◇後続が迫り競争心に火 諸身里、力振り絞る
初出場で頂点を射止めた諸見里綾(34)=南風原町、飲食店従業員。スタートからゴールまで、2位選手の気迫を背中で感じながら走りきった。「ずっと差をつけられず、さらに気合が入った。絶対負けたくなかった」。
初めてのコースで体力配分がうまくいかなかったが、それでもしっかり前へ進み、2位に1分1秒差をつけ、ゴールゲートをくぐった。
スタートから1位を狙って走った。3キロ地点付近から始まる最大の難所の坂道は「何度も心が折れかけた」と言うが、トップをキープし続けた。
坂道の終わりが見えてほっとした時、2位の選手が十数メートル後ろにいることに気付いた。ぎくっとしてペースを上げた。しかし折り返し地点ではさらに差を詰められていた。
体力もほとんど残っていなかったが、ゴールが見えて力が湧いた。「あそこまで絶対に抜かせない」。最後に気力を振り絞り、勝利を手にした。
諸見里は「今後の練習にさらに気合が入る。楽しい大会になった」と最後は笑顔で締めくくった。
(嘉数陽)