沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会 島尻、強さ際立つ


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 県知事杯第42回沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会(主催・沖縄陸上競技協会、共催・県、琉球新報社、ラジオ沖縄、沖縄テレビ放送、特別協賛・沖縄電力、JAおきなわ、日本トランスオーシャン航空、協力・アイサム、県ランナーズクラブ連合会)の最終日は3日、復路の14区間(126.6キロ)で競った。第1日で2位に6分半差をつけていた島尻郡が、最終日も総合力の高さを示し、1位のタイムで走りきり、総合成績16時間46分02秒で2年連続19回目の栄冠をつかんだ。2位は国頭郡、3位は名護市、4位は八重山郡だった。第2日は名護市役所までの前半を島尻郡が1位でゴール。後半は名護市から恩納村の女子5区間を制して勢い付いた名護市が、国頭郡と競り合いを制し、初めて1着で奥武山公園のゴールテープを切った。前回大会より最もタイムを短縮させたチームに贈られる躍進賞は中頭郡の17時間22分46秒(前回大会比16分56秒減)だった。

30区、しぶとい走りでチームに貢献した島尻郡の孝田岳(左)=3日、嘉手納町(ジャン松元撮影)

かつてV10、強豪完全復活

 島尻郡最終区の大山翼(沖縄総合事務局)が2本の指で「2連覇」を表すピースをつくりゴール。総合タイムで2位に9分19秒の差をつけての大勝だった。2日間、思いをつなぎ続けた選手らが具志堅政隆監督、砂川敦コーチ、エース田島光(知念高―関東学院大)ら殊勲者を囲み、何度も何度もうれしそうに胴上げした。

 大会に向け、チームは週に最低1~2回は合同練習を行った。通信アプリLINEでコミュニティーをつくり、各種大会の結果から互いのコンディションまで共有した。選手同士で理解し合い、コースに合った配置を図った。何より団結力が高まったという。

 最終日のレースは21区で動く。たすきを取った時点でトップの国頭郡と3分37秒差あった古謝将大(那覇西高―日体大)が力走し2分26秒差に詰まる。続く田島は出走前に「絶対に1位でゴールするから」とLINEで仲間たちに決意を示した。強い向かい風と日差しが照り付ける。初日に続くレースで疲労もたまっていたが、ペースを落とさず有言実行の走りで前半を制した。

 後半も首位とはやや離れたが、28区・永山大誠(沖縄国際大)、29区・新垣来人(知念高)ら全員が上位に食らい付く走りを見せた。

 20年前に10連覇したことのある強豪・島尻郡。2年前まで、3位入賞できない時期が10年以上続いていた。かつて島尻郡のランナーとして活躍した砂川コーチは「選手たち全員の実力の底上げができている」とし、具志堅監督は「1人、2人エースがいるだけでは勝てない。全員でつかみ取ったもの」と喜んだ。長年の努力が大輪の花を咲かせた「完全復活劇」だった。 (喜屋武研伍)