政治

〈私の視座 2・24県民投票〉3 元知事・稲嶺恵一氏 真のオール沖縄必要 ぎりぎりの妥結点模索を

―県民投票が実施される。

 「県民投票はいわゆる伝家の宝刀だと思っている。大きなインパクトを与えてこそ意義がある。しかし名護市辺野古の普天間飛行場代替施設建設については、反対する玉城デニー知事の誕生という一つ大きな既成事実がある。明快に民意は示されている。県民投票を実施するなら、それ以上のインパクトが必要になるが、そうなるとは思えない。そういった意味では今回の県民投票は非常に冷ややかに見ている」

―意義を高めるために必要なこととは。

 「オール沖縄の具体化だろう。1995年の少女乱暴事件に抗議する県民大会のような強烈なインパクトが必要だ。今は圧倒的に無党派、中間派が増えたが、当時の保革対立の構造は非常に厳しかった。その中で保革が一体となった大会だった。明らかなオール沖縄。その結果、それまでなかった米軍基地の整理縮小という計画が動きだした。山は動くんだなと感じた。プロパガンダのような今のオール沖縄ではいけない」

―普天間問題に向き合った知事経験者として沖縄の民意をどう捉えているか。

 「民意はとても重要だ。知事の時は常に過半数の支持を得られる範囲はどこだろうと追いかけ続けていた。ただ民意で動いているわけではない。こちら側からも民意を変えていく。その中で私は『苦渋の決断』で辺野古建設を受け入れた。オール・オア・ナッシングでは駄目だ。それが軍民共用、15年使用期限というベターの選択だった。知事選に当選し県民が移設を認めたというのも真実だ」

 「勘違いしないでほしいのは私の時代も民意は辺野古反対だった。ぎりぎりの中で模索し提示した中での成果だったと思っている。理想を言うのは簡単。現実に迎合するのも簡単。だから政治の難しさがある」

―沖縄の政治に望むことは。

 「各政党の思惑があるだろうが、そういうものを抜きにしてもう一度、沖縄の立場として考えてもらいたい。95年の県民大会は一つの歴史を感じた。あれから四半世紀だ。国際情勢や近代的装備などいろんな意味で時代が変わった。過去のままずっと来ていることに難しさがある。ただ反対だけでなく、改めて沖縄の中でも整理する必要がある」

―整理する上で県民投票で民意を確認する意味はあるか。

 「玉城知事誕生の流れでは勝敗は明らか。インパクトは弱い。だからマイナスにしかならないとみている。もし県民投票を意義あるものにするには80%以上の投票率が必要ではないか。分裂していては沖縄は永久にうまくいかない。オール沖縄にするにはどうするか。ぎりぎりの妥結点を模索し続けることがより優先されることだ。勝った負けたでは何も生まない」

(聞き手 県民投票取材班・謝花史哲)

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 いなみね・けいいち 1933年10月14日、旧満州大連市生まれ。慶応義塾大を卒業。いすゞ自動車輸出業務課長を経て琉球石油入社。りゅうせき社長、県経営者協会長、米軍基地所在市町村に関する懇談会(島田懇)副座長などを歴任した。名護市辺野古への米軍普天間飛行場移設を条件付きで容認し、98年の知事選で初当選し知事を2期務めた。現在りゅうせき参与。