24日投票が告示された県民投票について、投票のテーマとなる米軍普天間飛行場の辺野古移設計画の経緯や争点を再点検し、Q&A形式で解説します。
Q そもそもなぜ県民投票するの?
A 「米軍普天間飛行場の移設に伴う基地建設のための埋め立てに対し、県民の意思を的確に反映すること」が目的だ。条例制定を請求した「辺野古」県民投票の会は「現在の地方自治法は国と地方を対等と位置付けている。国策とはいえ、沖縄県民の理解を得られない米軍基地建設計画を米国と約束し、建設を強行することは許されない」と主張している。
長年に渡って国と県の間で争いとなってきた辺野古の埋め立て問題にテーマを絞り、県民の意思が賛成、反対どちらにあるのかをはっきりさせる機会になる。
Q 県知事選などで移設反対を訴える知事が選ばれて民意は示されたのでは?
A 政府や司法はそうは思っていない。移設反対を訴えて当選した翁長雄志前知事は、仲井真弘多元知事の辺野古埋め立て承認を取り消し、国から訴えられた。2016年9月の福岡高裁判決は国の請求を認めた。判決文には、沖縄には普天間の基地負担軽減を求める民意と辺野古新基地建設反対を求める民意があり、選挙結果から見て二者択一を前提にした民意がどちらか明らかではないと示された。つまり選挙結果ではどちらか分からないということだ。
県は、埋め立て海域に軟弱地盤があると判明したことなどで仲井真元知事が埋め立てを承認した時と状況が変わり、法律の要件を満たさなくなったと判断した。それで謝花喜一郎副知事は昨年8月に埋め立て承認を「撤回」した。9月の県知事選では、移設反対を掲げた玉城デニー氏が過去最多の約39万6千票を獲得して当選。移設の見直しと対話による解決を政府に求めている。
これに対して政府は、県が行った撤回の効力を止めて11月には工事を再開した。選挙を受けても「辺野古が唯一の解決策」との立場を変えていない。
Q 県民投票の結果に法的拘束力はあるの?
A 法的な拘束力はない。最も多い選択肢の票が投票資格者総数の4分の1に達した場合、「知事はその結果を尊重しなければならない」と定めている。国の方針と県民の意思が異なることが示された場合、民主主義国家として日米両政府の対応も改めて問われることになるとみられる。
Q 工事は進んでいて、もう止められないのでは?
A 県は原状回復できるという認識だ。政府は現在、計画全体の4%の区域を護岸で囲って土砂を投入している。3月にはサンゴの移植が済んでいない新たな区域での土砂投入も始める予定だ。
Q 県外で海兵隊の新基地を引き受けるところがないから仕方がないのでは?
A 確かに、米軍普天間飛行場の移設先については2009年の民主党政権の時に県外も検討されたけれど、県外に受け入れ先がないから県内移設に回帰したという経緯がある。国土面積の約0・6%にすぎない沖縄県に、日本の米軍専用施設の約70・3%が集中している。なぜこれだけ沖縄が負担を負わなければならないのか、なぜ辺野古新基地が必要なのか、政府の説明が不十分だと考えている人も多い。国の安全保障の問題だからこそ、どう負担を分かち合うのか、この機会に県外の人にも考えてもらう必要がある。