沖縄の高校生が作成したLGBT・性の多様性啓発パンフレット 悩みに助言 県内の中学・高校に1万部配布


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表裏で11ページの蛇腹折りになっているLGBT・性の多様性啓発パンフレット

 レインボーハートプロジェクトokinawa(竹内清文代表)が作成した中高生対象の「LGBT・性の多様性啓発パンフレット」がこのほど完成した。1万部を沖縄県内の全中高校へ配布する。県内の高校生たちが協力し、12日、うるま市の中部農林高校で同校福祉科3年の生徒らが作成作業に取り組んだ。

 パンフレットはポケットに入る大きさで、性的少数者(LGBT)の悩みに対するアドバイス、相談窓口などを紹介。竹内さんが県立高校の教員から「人目を気にせず持ち運べるパンフレットが欲しい」との声を聞き、LGBTや多様性の認知を広げるため企画を練った。県内のLGBT当事者の高校生が挿絵を描いたほか、生徒が作業に携わった。

パンフレット完成を喜ぶ竹内清文さん(左)と作成作業に携わった生徒ら=12日、うるま市の中部農林高校

 レインボーハートプロジェクトは小中高校での講演活動を精力的に実施。配布により、講演に出向けない学校の児童生徒にもメッセージを伝えることを狙う。冒頭の「周りと違っても大丈夫」という言葉は、LGBT当事者以外にも向けられている。竹内さんは「当事者には読んで安心してほしい。当事者以外にも、個性を認めることや周囲の人の悩みを知ってもらいたい」と話した。

 中部農林高校福祉科の生徒は約1年間、LGBTについて理解を深める研究に取り組んだ。11月には同校で竹内さんを招いての講演会を開催。12日は、研究の中心となった新里梨鈴(りかな)さん(18)、大島海鈴(まりん)さん(18)、志多伯崚さん(18)、新城美妃さん(18)のほか約15人の生徒らが作業に参加した。

 粟国瑞紀さん(18)は「仲間の研究や講演で多様性や個性の大事さ、性のグラデーションを学んだ。LGBTについて、もっとみんなに知ってもらいたい」と話した。