米軍普天間飛行場の返還合意から23年。無条件返還や県外・国外移設を期待する声が根強い中、日米両政府は県内に代替施設を建設することに合意し、辺野古の埋め立て工事が進められている。辺野古移設の賛否を巡り、安全や安定、自然保護や経済振興など、さまざまな論点で県民の思いは交錯している。2月24日に投票が実施される辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票を前に、有権者に1票にかける思いを聞いた。
〔反対〕建設費 国民のために 主婦・木脇静香さん(33)
米軍機が上空を飛ぶ野嵩で育ったので、騒音が当たり前の生活だった。夫の転勤で家族で宮古島に移り住んだことがあるが、別の場所に住んでみて初めて基地周辺で生活することが大きなストレスになっているということに気がついた。部品の落下などでも市民を危険にさらしている。危険性をなくすために辺野古移設を容認する意見も理解できるが、同じ沖縄に暮らす人たちの生活を考えると私は反対だ。
大浦湾はそこにしかいない多様な生物が生息する貴重な海で、埋め立ててほしくない。移設問題は沖縄だけではなく、全国で考えるべき問題だと思う。埋め立て予定地は地盤が悪く、工事が長期になり多大な費用がかかることが分かっているなら、別の解決策を検討する時期ではないか。多額の費用を費やす代わりに、保育や教育、社会福祉など国民のために使ってほしい。
〔賛成〕子のため安全な空を/自営業・島袋鈴美香さん(45)
宜野湾市で生まれ育ち、普天間飛行場のすぐ近くで生活してきた。2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故の時はたまたま沖縄にいなかったが、その時初めて「米軍機は落ちるものなんだ」という実感が湧いた。
子どもはフェンスのすぐ隣にある保育園に通っていた。子を持つ市内の親にもいろいろな考え方があるはずで、県内移設に反対するのは間違っていない。ただ、私は今ある危険性の除去を最優先にしてほしいと感じている。県外のどこにも受け入れ先がない。今の段階では、現在基地がある辺野古が唯一受け入れてくれることになっている。「申し訳ないがお願いします」という気持ちだ。
住宅地や学校の上空を飛ぶ普天間飛行場よりは、海に面した代替施設の方が危険性が少なくなると思う。子どもたちが大人になる頃には危険な空がなくなっていることを期待したい。