ドローンで収穫判断 ドコモ、オキコム実験 ITで果実栽培効率化


この記事を書いた人 大森 茂夫
ドローンでタンカンを撮影するokicomの宮城圭氏=19日、大宜味村のマキシ農園

 NTTドコモとソフトウエア開発などのokicom(オキコム、宜野湾市、小渡玠代表)は、タンカンなどを栽培するマキシ農園(大宜味村、真喜志条治代表)と協力し、果実栽培を効率化するITサービス開発に向けた実証実験を進めている。ドローンを使って、果実の熟度など育成状況の把握や害鳥の追い払いをし、農家の労力軽減につなげる。

 果実の育成状況はベテラン生産者の経験や勘を数値化し、ドローンが撮影した果実の画像から収穫時期を判断して、スマートフォンなどで農家に通知する仕組みづくりを目指す。仕組みができれば、生産者が収穫時期を目で見て判断していた労力が省ける。木の高い位置になっている果実も、ドローンで撮影して収穫時期を判断できる。

 実証実験ではマキシ農園で栽培するタンカン約50個から色合いや大きさ、食味、糖度、酸度などのデータを集めた。今後それぞれの数値の相関関係を分析し、サービス開発につなげる。ドローンがタンカンの細かい色の違いを識別できないことや、コスト面で小規模農園では複数農家が集まる必要があるなど、今後の課題も見えた。オキコムの小渡晋治取締役は「現場で使えるものを、適正価格で提供できるようにしたい。他の果実でもできればビジネスも広がる」と話した。

 ドローンがカラスによる果樹の食い荒らし対策に有効なことも分かった。マキシ農園では1日20~30羽、多い時で40羽のカラスが襲来し、真喜志氏が園内を回ってカラスを追い払っている。ドローンを飛ばしてカラスを追い払うことで、200~300キロ分のタンカンの食い荒らしを防いだ。

 真喜志氏は「園内を回らなくていいので、労力の削減になる。他の作業に時間を充てることができる」と話した。これらの事業は、NTTドコモが研究しているドローンの自動運航でのサービス提供を最終目標としている。実証事業は、沖縄ITイノベーション戦略センターの「IT活用ビジネスモデル・テストベット構築支援事業」を活用している。
 (中村優希)