沖縄アクターズスクールとライジング 再タッグの理由 「アジア一のアーティスト育てる」


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子

 沖縄アクターズスクールのマキノ正幸代表取締役とライジングプロ・ホールディングスの平哲夫代表取締役の両者による、新たな沖縄発のスター誕生に向けたプロジェクトが再び動き出した。約20年ぶりにタッグを組む両者に今後の展望を聞いた。(聞き手 藤村謙吾)

マキノ代表が発掘し育てたISSAがリーダーのDA PUMP(ⓒライジングプロ・ホールディングス)

 ー再タッグのきっかけは

 平「タレントを見つけて育成する力は、沖縄に限らずマキノさんがピカイチだ。昨年再ブレイクしたDA PUMPのISSAや国民的な歌手になった三浦大知もマキノさんが発掘して育てたタレント。私たちは原石を磨き上げるだけでなくプロデュース(企画演出の計画作り)やプロモーション(宣伝)をする仕事。90年代はそのコンビネーションが大変うまくいっていた。そのような背景がある中で、昨年マキノさんが出した本(『沖縄と歌姫』(宝島社))を読み(マキノさんが)気になっていた」

 

 マキノ「平代表が、本を読んでいると人づてに聞き連絡を取った。もともと本は、平代表へのメッセージでもあった。本当に連絡を取れることになるとは夢にも思わなかった」

 

 ーなぜ平代表を意識していたのか

 マキノ「作品作りにすごくこだわる人だからだ」

 

 平「作品については、プロデューサーとも大分激論を交わす。SPEEDの曲でどれが一番好きか聞かれることがあるが『だめな曲は全部NGにした。好きだと思う曲しか出していない』と答える。DA PUMPもそうだ」

 

アジアや世界市場を見据えたプロモーションについて語るライジングプロ・ホールディングスの平哲夫代表

 ーアクターズのタレントをどのように売り出すのか

 平「流れに乗るだけでなく、むしろ流れにさおをささなければいけない。今JPOPは、パワーと作品力が落ちてKPOPより旗色が悪い。何かの記念でもない限りドームツアーをできる歌姫は、日本に1人もいない。男性も10組いるかどうかだ。さらにいまの日本のレコードビジネス業界は内向きになっている。それを突破するためにどうするか。僕はマキノさんに『せめてアジア1位になるようなタレントをつくってほしい』とお願いしている。それにより長い目でみて世界戦略も描ける。(アクターズの生徒は)作品によって受ける可能性がある」

 

 ー約20年ぶりのタッグ結成をどう感じるか

 マキノ「お互いの信頼関係は以前より深くなった。以前はどの会社のどの社長の考えにフィットしても良いと思いタレントを育てていた。その中でたまたま平代表が目を付けてくれただけ。今はより良いコミュニケーションが取れており、代表の考え方も分かる」

 

 平「僕はマキノさんの才能を信じている。20年たっても、(生徒を見たとき)こちらのプロデュースに応えてくれるだけの素材を育ててくれていると感じた。素材の発掘から磨くことへの思いが(僕もマキノさんも)深い」

 

これからの可能性について語る沖縄アクターズスクールのマキノ正幸代表

 ー再タッグに向けた意気込みを

 平「過去日本は経済もポピュラー音楽もアジア1位だったと思う。今日本で1番良くてもアジアで1位になれない。それでも、日本のポピュラー音楽はアジアを再びリードできる可能性がある。これからは経済的にアジアをリードしていた頃のタレントの出し方と違う考えが必要だ。(その考えを構築し)日本がポピュラー音楽でアジアをリードするための素材の一つとして、アクターズスクールのタレントを選びたいと思っている」

 

 マキノ「平代表と別れた後、いろいろあって、約6億の借金を背負った。『やってしまったことの責任は取る』と借金を返すために生きるような日々だったがそれから約20年たち、代表と再び会えた。僕は約束したことはやる。代表に『アジア1位のタレントを育ててほしい』と言われて『はい』と言った瞬間から、僕は手掛けるタレントをアジア1位にする自信がある」 

◇プロフィル◇

 たいら・てつお 1946年8月24日生まれ。ライジングプロ・ホールディングス 代表取締役。85年荻野目洋子を第1号所属とした「ライジングプロダクション」を設立。「Jonny  Taira」名義でプロデュース活動も行う。観月ありさやMAX、DA PUMP、SPEED、国仲涼子、三浦大知、比嘉愛未など数々のアーティストを世の中に送り出している。

 

 まきの・まさゆき 1941年2月7日生まれ。沖縄アクターズスクール代表取締役。映画監督のマキノ雅弘と女優・轟夕紀子の長男。祖父は「日本映画の父」マキノ省三。71年に沖縄に移住し、83年に「沖縄アクターズスクール」を設立。スクール生のMAXやSPEED、DA PUMP、三浦大知などの才能を見出した。現在は「Precious J」の育成を手掛ける。