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パンプス強制「やめて」 署名活動で訴え 見えぬ差別、声上げて グラビア女優・ライター石川優実さん


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
「職場でのパンプス強制をやめてほしい」という署名活動をしている石川優実さん=7日、東京都内

 「#KuToo 職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!」。インターネットの署名サイトでこんな署名活動をしている女性がいる。グラビア女優でライターの石川優実さん(32)=東京都=だ。「なぜ性別によって履物に違いがでるのか」と疑問を投げ掛ける。過去には自身の性被害を実名で告発した経験もある。父親は沖縄出身。石川さんは「決まっているから仕方ないでは変わらない。声を上げないと何も始まらない」と訴える。

 署名活動のきっかけは、ツイッターで何気なくつぶやいた「パンプスきつい。なぜ女性だけ?」に、多くの反響が寄せられたことだった。「同じ事を感じている人がこんなにいるなら」と署名を集め始めた。

 石川さんは葬儀屋でアルバイトをしている。葬儀が円滑に進むように、参列者を案内するのが仕事だが、女性はパンプス着用が必須。パンプスは人によっては外反母趾(ぼし)になったり、靴擦れしたり、腰に負担がかかる―など健康上の害が出る場合もある。

 さらに、葬儀の間は静かにしないといけないが、パンプスだとどうしても足音が出てしまう。それなのに、女性はパンプス着用なのはなぜか―。それは「これがマナーだから」「当たり前だから」という思い込みではないか。石川さんはそう考えている。

 自分の考えを社会に表明するのはこれが初めてではない。2017年には、芸能界での被害を実名で告白した。それは同じように声を上げている人の存在を知ったから。「私と同じだ。これまで私のせいと思っていたことは言ってもいいんだ」と勇気づけられた。

 自身の性被害を告白してから、ジェンダーや性差別について学び始めた。するとこの社会には多くの見えない差別があり、知らないうちに加害者や被害者になっていることに気が付いた。辺野古埋め立て反対の署名にも賛同した。「基地問題と#MeToo運動は似ている。基地問題は沖縄の問題ではなく、日本全体の問題。セクハラも女性だけの問題ではない。本当は誰もが当事者の問題だけど、多くの人が気付いていない」と指摘する。

 「社会で起きていることを自分の頭で考え、意見を表明することが当たり前の社会になれば、誰もが生きやすい社会になる」。そう信じている。

(玉城江梨子)