キングス、富山振り切る Bリーグ第43戦


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 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングス(西地区)は9日、沖縄市体育館で富山グラウジーズ(中地区)と今季第43戦を行い、72―69で競り勝った。通算成績は28勝15敗。最終第4クオーター(Q)、残り2分を切り67―67と一進一退の攻防の中、キングスは岸本隆一の3点弾でリードし、その後も岸本がフリースローを沈めなどし、粘る富山を振り切った。攻撃力の高い富山に対し、キングスはゾーン守備でゴール下をきつく守り、富山の重量級外国人選手の得点力を抑えにかかった。攻撃は3点弾やペイントエリアの攻撃を使い分け、先行する時間を長く保つ。第3Qに追い上げられて接戦となったが、岸本らの3点弾などで粘り勝ちした。古川孝敏は練習中のけがにより出場しなかった。10日も午後2時5分から同体育館で富山と対戦する。

(沖縄市体育館、3230人)
キングス 28勝15敗
 72―69(18―16,22―18,14―21,18―14)
富山 21勝22敗

 【評】アップテンポな展開の中、キングスはゾーン守備で素早くスイッチしたり、ダブルチームを仕掛けたりと、富山の重量級の外国人選手につながる攻撃を抑えた。3点弾も好調で前半はリードする流れに。外国人選手をファウルトラブルに追い込むも、第3Qは約4分半無得点で苦しむ。最後まで接戦が続いたが守り勝った。

◆攻撃良かったが意思疎通できず

 佐々宜央HC(キングス)の話 守備で富山のジョシュア・スミスを抑えて攻撃も良かったが、第3Qのメンバーが意思疎通できずゲームをコントロールできてなかった。勝ちはしたが、負けてもおかしくない試合だった。

◆琉球はよい戦力

 ドナルド・ベックHC(富山)の話 琉球はよい戦力がそろって素晴らしい。後半はいい守備ができたが、最後に琉球が勝った。琉球おめでとう。

◆岸本 鮮やかに3点弾

キングス―富山 第4Q ディフェンスを突破し、得点を狙うキングスの岸本隆一(右)=9日、沖縄市体育館(田中芳撮影)

 第4Q終盤、67―67の場面で審判のミスジャッジで荒れた会場の雰囲気をキングスのタイムアウトが冷ます。再開した時間は残り1分ほど。キングスの攻撃の場面で、岸本隆一が得意とする3点弾を鮮やかに決めると、会場が沸き立った。

 1ショットで勝利を引き寄せ、その後も果敢なドライブでファウルを誘いフリースローを得るなど、勝負どころで計5点。主将としての意地を見せた。「チャンピオンシップはこういうゲームばかりになる。接戦を勝ちきったのは大きい」と岸本。チームにとっても重要な意味を持つ1勝となった。

 フィールドゴール率リーグ1位の攻撃力がある富山。想定した通り、試合はアップテンポとなったが、キングスの集中力が上回った。ゾーン守備と素早いスイッチで、208センチ、138キロの巨漢のジョシュア・スミスを複数人で抑えた。激しいコンタクトで競り合ったケビン・ジョーンズは「速めのトラップ守備でボールを手放させた」と語った。

 しかし第3Qに連係が乱れて失速。石崎巧や橋本竜馬の投入で盛り返したが、佐々宜央HCも「やってきたバスケじゃないことをした時間帯」と出場選手の状況判断の悪さを指摘した。

 岸本も指摘された一人で「チームを落ち着かせられず、今日のゲームメークは課題」と振り返る。それでも最終盤での活躍に「自分の武器の3点弾を決め、その後も中にアタックしたのは手応えがあった。自信を取り戻す試合で、『試合を決める』岸本隆一を表現できた」と10日も集中力を持ち臨む。
(嘉陽拓也)