【北谷】県立北谷高校を1日に卒業した山内昴輝さん(18)は、4月から茨城県の筑波技術大学へ進学し、理学療法を学ぶ。弱視と脳性まひによる左半身のまひがありながらも、全日制の高校に3年間通い続けた。「友達や先生、家族からのサポートがあったから充実した学校生活が送れた」。高校卒業への達成感と、新たな旅立ちに胸を高鳴らせている。
大学進学のきっかけは比嘉正二校長の後押しだった。山内さんは卒業後、盲学校の専攻科に通おうと思っていたが、単眼鏡を片手に懸命に授業を受ける姿を見てきた比嘉校長は大学への進学を強く勧めた。比嘉校長が視覚・聴覚障がい者のための教育機関である筑波技術大へ問い合わせると、大学の入試担当者が北谷高校へ足を運び、進学相談を受けてくれた。
進学を決意した山内さんだが、AO入試と推薦入試を受けるも不合格。結果に肩を落としたが、大学の入試担当者の「諦めずに一般入試を受けてほしい」との言葉を思い出し、再挑戦を決めた。「支えてくれた人の期待に応えなければというプレッシャーに押しつぶされそうだった」と振り返る。大学のホームページで受験番号を確認し、合格を知ったときは「安心感の方が大きかった」という。
将来の夢は理学療法士になることだ。1200グラムで生まれ、未熟児網膜症と左半身脳性まひを患った山内さんの幼少期は、歩行練習などリハビリの日々だった。努力を重ね今ではほぼ支障なく生活が送れるまでになった。「患者の立場で携われる理学療法士は少ない」。自らの経験を生かし、患者と同じ目線で向き合う理学療法士になることを目指す。
比嘉校長は山内さんに教師の道も勧める。「視覚障がいのある子どもたちを導く人になってほしい」と期待を寄せた。