政治

玉城沖縄県知事 問われる説明責任 土砂投入提訴 国との交渉 不透明感

安倍晋三首相との会談後、記者団に答える玉城デニー知事=19日、首相官邸

<解説>
 辺野古埋め立て工事を止めた上で県との協議に応じるという政治判断を安倍晋三首相に直接求めた玉城デニー知事だったが、官邸側は新たな埋め立て工区への土砂投入を予定通り25日に行うと返答した。玉城知事は「訴訟合戦」を避けるとして、政府対応によって新たな訴訟の提起を控える可能性も示唆していたが、工事が止まらないことは県にとって「ゼロ回答」に等しい。

 埋め立て承認「撤回」の効力を止めた国の執行停止処分の取り消しを求める提訴の期限が22日に迫る中、国を相手取った訴訟に踏み切らざるを得ない情勢だ。

 首相や官房長官、防衛相が県民投票の結果にかかわらず移設作業を進めるという発言をはばかりなく続けており、県の工事停止要請に応じる可能性が低いことは、ある程度予想のできた展開ではある。だが玉城知事は19日の会談で、係争中の岩礁破砕差し止め訴訟の上告取り下げを先に示した。上告取り下げや、国の対応によって執行停止取り消し訴訟の提訴についても控えることを交渉の材料として首相に対話を迫ったことは、県政与党や弁護団でさえ「寝耳に水」と驚きや戸惑いを隠せないでいる。

 政府の譲歩を引き出せるとの期待を含んだ交換条件としての提案だったはずが、判断根拠と共に、表に出ていない、この間の調整過程は不透明感が否めない。

 埋め立て反対が多数となった県民投票や、新たな土砂投入に反対する16日の1万人集会を背景に新基地建設計画への反発が高まりを見せる中で、既定方針通りに土砂投入が進められるとなれば、最高裁で争う訴訟の上告取り下げまで譲歩してみせた玉城知事に説明責任が問われる。既に20日からハワイ出張などのために沖縄を離れ、提訴期限の22日や土砂投入開始予定日の25日に県庁を不在にする判断にも、疑問符が投げられそうだ。
 (与那嶺松一郎)



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