見えにくい場所、点検 県認知症行方不明者家族の会 地域巡回や普及活動


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夜間のホットスポットパトロールで地域を回る参加者ら=沖縄市美里

 【中部】県認知症行方不明者家族の会(安慶名達也代表)は、行方不明になった認知症の人の捜索や防犯などのため、ホットスポットパトロールを推奨している。「ホットスポット」は行方不明者が迷い込みやすく、犯罪が起きやすい場所のことで、パトロールにより見守りや地域の防犯にもつながる。同会では自治会などで勉強会を開き、普及啓発に取り組んでいる。

 同会は2015年に発足。沖縄署と協力して認知症の行方不明者の捜索や、地域での見守りの啓発活動などに取り組んでいる。

 パトロールでは、入りやすいが周囲から見えにくい場所を把握する。日頃のパトロールが生かされ、昨年10月に発生した事例では約30分で行方不明者を発見したという。一方で、行方不明者の9割が通行人や住民からの通報で保護されており、地域での連携が早期発見や未然防止につながるとしている。

 同会は1月28日、沖縄市の美里自治会のメンバーらとパトロールを実施した。住宅地のある井戸「キッチャカー」で、同会の宮里ジュンさんが「街灯がないため夜は暗い。高い建物に挟まれ周囲からは見えにくくなっている場所だ」と説明した。パトロールでは、街灯が点灯していない箇所なども細かくチェックした。

 美里自治会の久高唯文自治会長は「(パトロールで)住宅地内に隠れている場所や空き家などを把握できた。住民同士の交流も薄れる中で、高齢者や一人暮らし世帯の見守りにもつながる」と振り返った。

 同会は活動の普及や啓発のため、講習会にも取り組む。北谷町の栄口区公民館で開かれた講習会では、ホットスポットについての説明や、チームワークを築くためのワークショップも実施された。宮里さんは「個人での見守りには限界がある。地域で守るという意識の共有が重要だ」と語る。

 栄口区自治会の島袋艶子自治会長は「一つ一つの取り組みが認知症の理解や連携につながる。定期的にパトロールにも取り組みたい」と話した。

 安慶名代表は、会の活動が広まり、全県的に見守り体制ができることを期待する。「共有のマニュアルを用い、行政や企業も含めて連携する仕組みづくりに向けて取り組みたい」と意気込んだ。