「沖縄の企業として発展させて」 オリオンビール創業家関係者らが思い語る


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オリオンビールの本社

 カーライル・ジャパンと野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)によるオリオンビール株式の公開買い付けをけん引したオリオンビール創業家関係者と、創業当初から事業に携わる元社員が21日までに琉球新報の取材に応じた。創業家関係者は「(株式売却を進めたのは)オリオンの発展のためだった。沖縄の企業としてオリオンを存続・発展させてほしい」と強調した。

 創業家関係者によると、5年前に創業家一族らが保有するオリオン本社の土地や建物、株式の売買に関する話が持ち上がり、会社側と交渉を行った。売買価格に関して両社の考えに相違があったほか、交渉を通じて今後のオリオンの経営に危機感を覚えたこともあり、話し合いはまとまらなかった。その後、創業家関係者は外資を含めて株式の売却先を模索した。昨年3月にカーライルとの交渉を進めた。その後、NCAPが参加した。

 創業家関係者は「これまでオリオンを支えてくれた県民や事業者、飲食業の関係者や株主の皆さまには心から感謝している」と語る。株式の売却が完了した後でも、カーライルなどには沖縄の声に耳を傾け、丁寧に事業を進めてほしいと考えている。「オリオンは県民のビールメーカーで、県民の宝だ。沖縄の企業としての存続と発展は県民の強い思いで、カーライルらにはそこに力を尽くすべきだ」と話した。

 筆頭株主としてオリオンを支えたアサヒビールについては「オリオンの立ち位置をよく知っている。これからもサポートをしてもらいたい」と願った。

 元社員は「株式売却について、まだまだ十分な説明がなされたとは言えない。株主に限らず、多くの県民が不安を抱いている。これからも説明を尽くしてもらいたい」と語る。オリオンの将来に向けて「従業員も現実を見つめながら、しっかりと頑張ってほしい」と感じている。