人間国宝・宮城能鳳さんに日本芸術院賞 県内から初受賞


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国立劇場おきなわ開場15周年記念特別公演の組踊「孝行の巻」で母を演じる宮城能鳳さん(左)。同劇場の組踊研修で指導した佐辺良和さん(右)、金城真次さん(中央)らと共演した=1月13日、浦添市の同劇場

 日本芸術院(黒井千次院長)は22日付で、優れた芸術家を表彰する2018年度日本芸術院賞の授賞者8人を発表し、県内から組踊立方の人間国宝・宮城能鳳さん(80)=与那原町=が選ばれた。県内からの受賞は初めて。「組踊における卓越した技法による舞台表現と継承発展に寄与した功績」が評価された。授賞式は6月下旬に東京都の同院会館で行われる予定。

 能鳳さんは「私でいいのだろうかと思うが、非常に栄誉なことだ。苦労して芸能を継承された先師先達(せんだつ)のおかげだ。今後も若手の育成に励みたい」と語った。
同院は授賞理由について「女方の持つ優美華麗さと沖縄芸能独自の品格を誇り、端麗にして繊細さの中に強靱(きょうじん)さを秘めた芸風を確立」していることや「後進の養成に尽力」していることを挙げた。

宮城能鳳さん

 能鳳さんは1938年生まれ、旧佐敷村(現南城市)出身。本名は徳村正吉(まさきち)。初代宮城能造に師事。90年から県立芸術大教授を務め、2004年に客員教授、07年に名誉教授。05年から国立劇場おきなわの組踊研修の立方主任講師を務める。06年に重要無形文化財「組踊立方」保持者(各個認定)=人間国宝=に認定。09年に重要無形文化財「琉球舞踊」保持者(総合認定)に認定され、15年から琉球舞踊保存会会長を務める。13年に琉球新報賞。宮城本流鳳乃会(おおとりのかい)家元。【琉球新報電子版】