ジュゴン食み跡ゼロ 2018年12月以降、名護市嘉陽沖 自然保護団体「ジュゴンがいられなくなった」


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確認された海草のジュゴンの食み跡=2014年6月、名護市辺野古沖(日本自然保護協会提供)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関し、沖縄防衛局が同市嘉陽沖で実施する調査で、昨年12月から海草の食(は)み跡が確認されていないことが27日、分かった。防衛局は工事着手前から食み跡調査をしており、最も多かった2015年9月には月に120本が確認されたが、18年12月以降、1本も確認されていない状態が続いている。12月は沖縄防衛局が土砂投入を始めた時期とも重なる。

 1月の環境監視等委員会では、18年12月と19年1月の2カ月連続で食み跡が確認されなかったことが報告されたが、その後、2、3月の調査でも確認されなかった。防衛局が調査記録を公表する12年以降、これまでも食み跡の確認本数は変動していたが、1本も確認されなかったことはそれまでになかった。

 18年は1月に57本、2月は58本確認されたが、9月からは減少傾向が顕著にみられる。防衛局が実施する航空機からの目視調査でも、主に嘉陽に生息するジュゴン1頭(個体A)が、9月11日を最後に確認されなくなっていた。

 食み跡が確認されないことと工事の関係について、沖縄防衛局は本紙取材に「ジュゴンが確認できなくなった時期は、工事護岸の造成など水中音を発する工事は実施していないことなどから、工事による影響とはいえないと考えている」と回答した。

 ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局長は「音や振動がジュゴンに与える影響が限界に達したと考えるのが合理的だろう。ジュゴンが嘉陽にいられなくなった状態を示している」と指摘した。
 (清水柚里)