千グラム未満の超低出生体重児として生まれた双子の高島幸大(こうた)君(7)、勇大(ゆうた)君=那覇市=がこの春、就学猶予制度を利用し、1年遅れで小禄南小学校に入学する。新生児集中治療室(NICU)で長期間を過ごし、大手術も経験した兄弟。28日、家族で琉球大学付属病院を訪れ、出生時から2人を見守ってきたスタッフと再会し、元気いっぱいに入学を報告した。
「せんせー」。同病院の小児科医、呉屋英樹さん(45)が現れると、幸大君、勇大君が抱きついた。背中にはぴかぴかのランドセル。呉屋さんが「かっこいい」と言うと、2人は得意げな顔を見せた。
2012年1月12日、幸大君が614グラムで生まれた。その7分後、勇大君が596グラムで続いた。すぐに人工呼吸器が着けられる。「(生後)12時間がヤマ場」「72時間出血しなかったら、生命の危機は乗り越えられる」。妊娠24週で出産した母の菜都希さん(31)は、呉屋さんの声を祈るような気持ちで聞いていた。
危機を乗り越えたはずの3週目、勇大君が腸の炎症で緊急手術を受けた。その後も手術を重ね、「99パーセントの可能性で全盲になる」とも言われた。それでも菜都希さんは「絶対、大丈夫」と「言霊のように」自分に言い聞かせ、「息子の生命力を信じた」。
幸大君は3カ月、勇大君は7カ月でNICUを出た。症状は落ち着き、保育園に通った。同年生に比べると、発達はゆっくりだった。菜都希さんと夫の健也さん(39)は「劣等感を抱かせたくない」と、小学校入学を遅らせる就学猶予を申請。昨年2月に認められた。那覇市教育委員会によると、就学猶予は「めったにない」という。
昨年夏には弟の琉成ちゃんも生まれた。お兄ちゃんになった双子は「好き好き」と弟をかわいがる。その光景を見ると、菜都希さんは涙が出るという。「家族一緒に、当たり前のように過ごせていることが何より幸せ」。命の危機を何度も乗り越えた双子は「お勉強、頑張る」と声を弾ませ、それぞれのペースで学校生活を迎える。