県、上告取り下げ 岩礁破砕訴訟、敗訴が確定 国との対話 実現前に


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設を巡り県が国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟は、県の訴えを「裁判所の審判対象にならない」として請求を退けた一審、二審判決が29日確定した。県が同日、最高裁に申し立てていた上告を取り下げた。一方で、玉城デニー知事が安倍晋三首相に上告取り下げの考えを伝えながら求めた対話は実現に至っていない。

 岩礁破砕の許認可は知事の権限だが、沖縄防衛局は許可の前提となる漁業権が消失したため再申請は必要ないとして、岩礁破砕の許可を得る手続きをしていない。県は知事の許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして2017年7月に提訴した。

 しかし一審、二審判決は、自治体が条例や規則に従わせるために訴訟は起こせないとする最高裁判決(2002年の宝塚パチンコ条例事件)を引用し、県の訴えも同様に「裁判所の審判の対象にならない」と判示した。

 玉城知事は19日に安倍首相と会談し、名護市辺野古の新基地建設を中止し1カ月程度の協議の場を設けるよう要請したが、官邸側は新たな埋め立て区域へ土砂を投入すると回答。これを受け県は22日、埋め立て承認撤回の効力を停止した国土交通相の決定は違法だとして執行停止決定の取り消しを求め、福岡高裁那覇支部に提訴し、新たな訴訟を起こしている。