労働時間減らしたけど、所得増も達成! 沖縄ヤマト運輸 効率化で収入アップ 「働き方改革 あすスタート」


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休憩室で働き方について談笑する沖縄ヤマト運輸の(左から)大西尚樹さん、青木健太さん、平安名涼太さん=29日、那覇市

 長時間拘束、過重労働と厳しい労働環境がささやかれる運輸業界で、沖縄ヤマト運輸は17年4月から働き方改革に取り組み、セールスドライバーの「年間労働時間210時間減、年間所得50万円増」を達成した。

 改革前に比べ、人件費は億単位で膨らんだが、「会社が大きく成長するために、ひとまずしゃがんだ状態」と同社の赤嶺真一社長(49)。社員や労組と膝を突き合わせ、議論し、業務の効率化や待遇改善に「覚悟を持って取り組んでいる」

 同社ではドライバー1人当たりの業務負担を集配エリアの細分化で軽減させ、集配物の数に合わせて報奨金を設けた。残業を抑え労働時間の短縮に努めた社員には手当を支給し、全社員平均約9千円のベースアップを実現した。営業促進とサービス向上を図る研修「営業塾」を開催し、意識改革にも取り組んだ。赤嶺社長は「働き方改革前に比べ営業収入は10%上昇した。まだまだ改善点はある。一番の働き方改革は人をつくることだ」と言う。

 那覇新都心店のセールスドライバー大西尚樹さん(46)は「店舗で取る昼休憩が社内の風通しを良くした」と話す。義務化された昼休憩で同僚間のコミュニケーションが活発化し、届け先の地域性や道路状況の情報共有が促され集配効率も上がった。また、「残業が減っても、所得が減ったという感じはない」と同店の平安名涼太センター長(31)。改革により「子どもが増えたのが一番の変化」と笑った。

 残業軽減で家庭や余暇に割く時間が増え、ワークライフバランスが変化しモチベーションを上げている。懸念の一つだった退社率は12%から8%に減少した。同時に人手不足解消に向け、19年度春の定期採用では42人を採用するなど、取り組みは続いている。(高辻浩之)