障害者差別解消法 施行3年 支援組織、設置進まず


この記事を書いた人 大森 茂夫

 2016年4月に施行された障害者差別解消法に基づく「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を予定している沖縄県内の自治体が沖縄市、既存組織の下部組織として設立を予定している自治体が名護市と八重瀬町にとどまっていることが本紙の調査で分かった。障害者差別解消法の施行から3年になるが、法の趣旨に沿った取り組みが遅れている。

 障がい者に対する差別が表面化しにくく自治体による実態把握が難しいことが、協議会の設置が進まないことの背景にあるとみられる。指標となる先進地のモデルケースも不足しており、自治体側が二の足を踏んでいる現状もある。

 「既存の組織にその役割を付与した」と答えたのは14自治体。その多くは障がい者への支援体制の整備を検討する「自立支援協議会」に役割を付与している。

 24自治体は「具体的な取り組みをしていない」と答えており、半数以上の自治体が支援地域協議会に関する取り組みが進んでいない。

 自立支援協議会に役割を付与した自治体でも、協議会の会合は年1、2回程度しか開かれていない。「自立支援協議会では、発生した際の差別に迅速に対応できない」と指摘する関係者もおり、障がい者差別に十分対応できるか不透明だ。

 障害者差別解消支援地域協議会は、障がいを理由とした差別に関する相談を受け、対応を検討する自治体の組織。解消法では、自治体は支援地域協議会の設置が「できる」とあり、国は自治体に支援地域協議会の設置を促している。
(友寄開)