残したい地域の「しまくとぅば」 読谷村が副教材作成 イラストで読みやすく


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「読谷村のしまくとぅば~子どもの成長~」を手に、編集秘話を披露する儀保一樹係長(右)と松熊加奈子さん=3月19日、読谷村

 【読谷】地域ならではの「しまくとぅば」を次世代へ継承しようと、沖縄県読谷村はこのほど一括交付金を活用し、村の副教材「読谷村のしまくとぅば~子どもの成長~」をまとめた。読谷山(ゆんたんざ)生まれの姉弟、ミツと太良(たらー)が現代にタイムスリップした設定で、村で古くから使われているしまくとぅばの特徴や言い回しだけでなく、子どもが生まれてから十三祝いを迎えるまで、どのように成長が見守られてきたかを紹介している。

 目次は、あいさつの言葉や家族・親戚などについてまとめた「わんくとぅ(私のこと)」、満1歳の誕生日祝いや昔ながらの遊び、子守歌などを紹介する「っくゎやたから(子は宝)」、旧盆や清明祭など行事の歴史や風習を掘り下げた「しちびぬ くゎっちー(行事のごちそう)」の3部構成。イラストをふんだんに使い、子どもも読みやすい内容にした。

 村教育委員会の村史編集室の松熊加奈子さんによると、村内で、地域で単語や表現、発音が異なることから、平均年齢80歳以上の「読谷山シマクトゥバ愛(かな)さする会」のメンバーの協力を得て、それぞれ文字に書き起こした。松熊さんはしまくとぅばは元々話し言葉のため、独特な発音を文字にするのは大変な作業だったと振り返り、「細かいところまでこだわった力作。言葉だけでなく読谷の文化や風習も一緒に楽しみながら読んでほしい」と呼び掛けた。

 また、「子は宝」は編集に携わった人々の子や孫への思いが込められた。儀保一樹係長は「生まれ島の言葉や風習を残したいというたくさんの人の愛が詰まった一冊。この本が家族だんらんのきっかけになれば」と期待を寄せた。

 全32ページで、千部発行。県内の図書館や市町村史担当部署、教育関係機関などに配布する。問い合わせは(電話)098(958)2142(村史編集室)。