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クルーズ船4年で16倍 タクシー不足 対策急務 宮古島バブル(4) 〈熱島・沖縄経済〉4


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
クルーズ船から続々と下船し、観光バスに乗り込む海外観光客ら=8日、宮古島市平良荷川取の下里埠頭

 宮古島市の観光客数が右肩上がりで増え続けているのはクルーズ船の寄港増が背景にある。平良港への寄港は2014年まで1桁台で15年は13回だったが、18年は144回、19年は207回を予定する。わずか4年で16倍に達する見込みだ。一方、クルーズ客は一度に数千人が押し寄せるため、観光地が耐え得る範囲を超える「オーバーツーリズム」と指摘する声もある。今後もさらなる増加が予測される中、対策も急務となっている。

 19年最初の週末から平良港にはクルーズ船が寄港。多くの外国人観光客が上陸し、市内の観光地や商業施設に押し寄せた。一時期の“爆買い”は落ち着いたものの、大型ショッピングセンターに訪れる中国人観光客の消費単価は市民の10倍にも達しており、観光収入増加に貢献しているという。

 大型のクルーズ船になると乗客は3千人を超える。商業施設が混雑するため、市民はクルーズ船の寄港時を外して買い物に出掛けることも強いられているという。また、市内を巡る観光客の足を担うバスは乗務員が不足、タクシーは台数も不足している。そこにつけ込み、違法な白タク行為が横行する。クルーズ船寄港時は平良港にタクシーが集中し、市民が一時的にタクシーを利用できなくなる状況もあり、弊害も出てきている。

 この状況に宮古島観光協会の豊見山健児会長は「乗務員になりたいという若い世代がいない」と指摘する。大型バスについては、台数自体は十分にあるが、クルーズ船の寄港が急な欠航などもあって流動的なため、基本的に乗務員を日当で雇っており、安定的に雇用することが難しい事情もあるという。

 ただ平良港への寄港はさらに増える見込みだ。同港は国の「官民連携の国際クルーズ船拠点形成事業」に選定され、20年の運用開始に向けて大型クルーズ船が接岸できる岸壁の整備が進む。初年度の寄港回数は250回、50万人が来島すると予測され、17年度の36万人から大幅に増加するとみられている。市は「みなとまち宮古再生プロジェクト検討委員会」(委員長・下地敏彦市長)を18年6月に立ち上げた。受け入れ機能強化や対策を一元的に議論する狙いだ。全県的にクルーズ船の寄港が増加する中、宮古島市の今後の取り組みが注視される。

 (「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太、真栄城潤一)

(琉球新報 2019年1月17日掲載)