中学3年生が書いた沖縄全戦没者追悼式の詩「生きる」が歌に 長崎の音楽プロデューサーが作曲


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 2018年6月23日に開催された沖縄全戦没者追悼式で、当時浦添市立港川中学3年だった相良倫子さん(15)が読み上げた平和の詩「生きる」にこのほど、長崎県の音楽プロデューサー寺井一通さん(70)が詩に合わせたメロディーを作曲した。寺井さんは「若い人からお年寄りまでみんなが一つになれる詩だ。いつの日か沖縄で合唱を響かせたい」と語った。

寺井一通さんの指揮に合わせてコーラスする被爆者歌う会「ひまわり」のメンバー=4月、長崎県長崎市(同会提供)

 「73年前、私の愛する島が死の島と化したあの日。青く広がる大空は、鉄の前に見えなくなった」。曽祖母の凄惨(せいさん)な沖縄戦の記憶を基に、相良さんが感性豊かにつづった平和の詩「生きる」は多くの人の心を打ち、平和を希求する若い姿に全国から多くの反響があった。

 寺井さんが作曲した楽曲はゆったりと流れる静かな曲で、戦争で傷つく前の沖縄の情景が思い浮かび、心地よく耳に届く。曲の締めくくりは「命よ響け生きゆく未来に、私は今を生きていく」と聴く人の心に語り掛けるように響く。

 「生きる」は長崎県の被爆者たちでつくる合唱団・被爆者歌う会「ひまわり」が今年5月、千葉県のコンサートで初披露する。

 合唱団を主宰する寺井さんは「今、沖縄を語らずに平和は語れない。今を生きる全ての人が大事なものを思い浮かべて歌ってほしい。いつの日か、沖縄で合唱を響かせたい」と意欲をみせた。

 寺井さんから送られた楽曲を聴いた相良さんは「穏やかさの中にはっきりと平和への意思を感じた。朗読した言葉がちゃんと伝わっている気がしてうれしくなった」とのコメントを寄せた。4月に高校生になった相良さん。「沖縄と長崎で経験されたことは違うけれど、平和を希求する思いは変わらない。平和を創造できるのは自分たち若い世代だ」と思いを新たにした。
 (高辻浩之)