「はいたいコラム」 四国は一つになれるか


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 島んちゅのみなさん、はいた~い! 高知、愛媛、香川、徳島の四国4県が一緒になって活性化を目指す「四国応援隊」が先日、東京で発足しました。高知県をはじめ四国は、全国平均より25年早く人口減少が始まっている、いわば課題先進地域です。呼び掛けたのは、ご自身も高知生まれ香川育ちの都築冨士男さん。元ローソン・ジャパン社長で、一般社団法人農商工連携推進協議会の代表を務めています。

 都築さんはこれまでも担い手不足の業界に光を当てようと、「農業応援隊」や「介護応援隊」という雑誌を発行してきたことから、今回、農商工連携で四国を盛り上げようと立ち上がったのです。高知県黒潮町で育った私も応援隊として参加しました。

 当日は「人口減少地域を救うローカルイノベーションは関係人口だ」と題して、雑誌「ソトコト」編集長の指出一正さんが講演されました。「関係人口」とは、観光以上・移住未満で地域に関わる人たちのことで、指出さんは島根県と「しまコトアカデミー」という地域づくり講座を2012年から開催しています。

 受講するのは若い人が多く、半年間の講座で島根の課題について考えたり、現地を訪ねたりするうちに、実際に移住する人まで出てきているそうです。講座ではあえて移住の呼び掛けはしませんが、それゆえ自発的に移住希望者が生まれるという、なんともうらやましい好循環ができていました。

 指出さんいわく、地域と自分との関係を考えていくと、問題が「自分ごと」になるというのです。そのための地方の心構えとして、若者を呼び込むために美しい風景ばかり見せるのは、得策ではないと指摘しました。地域の押し売りではなく、本人が「私が見つけた景色だ」と自ら発見しないと、当事者意識や、自発性は生まれないというわけです。自ら考え、自ら動く。それこそが、自ら生きることにつながります。

 さて、四国の問題ですが、果たして4県はどこまで一つになれるでしょう。今まで隣の県とはライバル関係だったかもしれません。しかし、だからこそ手をつなげば、大逆転は起こせるはずです。SDGs(持続可能な開発目標)の17番目の目標は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。4県が互いの個性を認めて協力し合えば、関係人口は増え、魅力的な四国になるに違いありません。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)