〈記者解説〉辺野古抱える「沖縄3区」の審判に重み 国の「民主主義」問う


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当選が確実となり、支持者と一緒に万歳する屋良朝博氏(右から3人目)=21日午後8時5分ごろ、沖縄市安慶田の選挙事務所(ジャン松元撮影)

 平成最後の国政選挙となった衆院沖縄3区補欠選挙で、有権者は辺野古移設「反対」を掲げた屋良朝博氏を選択した。県知事選、県民投票で示された辺野古新基地建設「反対」の民意が揺るがないことが改めて示された。屋良氏は県選出国会議員として辺野古埋め立て阻止に向けて行動を開始する。3区補選は夏の参院選や来年の県議選など県内政局に大きな影響を与える。玉城デニー知事は、今回示された民意を原動力に政府与党に埋め立て中止を求めていく構えで、新基地建設問題は新たな局面を迎える。

<解説>

 衆院沖縄3区補欠選挙は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を掲げた屋良朝博氏が自民公認の島尻安伊子氏に勝利した。知事選、県民投票に続き、辺野古「ノー」の民意がさらに鮮明になった。名護市辺野古を含む沖縄3区有権者が反対の意思を突き付けた意味は大きい。

 政府は選挙結果にかかわらず工事を強行する方針だが、県民が何度も示している「異議申し立て」にどう向き合っていくのか、民主主義国家としての成熟度が一層問われる。

 3区補選は、自民系候補が辺野古移設の賛否を明言しなかった知事選とは対照的に屋良氏が辺野古反対、島尻氏が容認を掲げ、辺野古移設を巡る争点は明確だった。その意味で今回の選挙結果は辺野古反対の民意が示されただけでなく、辺野古移設阻止を掲げる玉城県政を後押しするものといえる。国政野党にとっては夏の参院選での野党共闘に向けた協議を加速させる一因になりそうだ。

 一方、島尻氏と同様に辺野古容認を掲げる自民党県連は連敗を喫し、逆風が続く。県民投票の結果を「真摯(しんし)に受け止める」としていた自民県連が今回の結果をどう受け止めるか、今後の対応が焦点となる。

 屋良氏の当選により、県内4選挙区の勢力図は知事選前と同様に「オール沖縄」陣営が3議席を維持した。ただ政府与党の自民が国会で多数を握る情勢は変わらない。

 少数野党として移設阻止の公約をどう実現するか。新たな県選出国会議員として力量が問われる。
 (吉田健一)