【嘉手納】発がん性などのリスクが指摘される有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が高濃度で検出された沖縄県嘉手納町屋良の湧き水。これまで比謝川や大工廻川など河川水の汚染は確認されていたが、今回は地域住民の生活圏にあり容易に近づくことができる湧き水で検出されたため、嘉手納町は急きょ注意喚起の立て看板を設置するなど対応に追われた。
近くで農業をしている女性(70)によると、シリーガーは小さな頃からの遊び場所で洗濯場所としても活用していた。現在は子どもたちがテナガエビを求めて遊びに来るという。「頻繁に訪れることはないし、飲むこともないとは思うが、子どもだからね…」と心配そうに話していた。
PFOSを巡っては企業局と県環境部の定期的な水質調査により、汚染源が米軍普天間飛行場と嘉手納基地である可能性が高いことが指摘されているが、県が求めている立ち入り調査を米側が拒んでいるため、特定はできていない。
嘉手納町の担当者によると今回、高濃度が検出された湧き水の中でも特にシリーガーには柵がないため、子どもたちの遊び場になっていたり、地域住民が生活用水として使用していた可能性もあるという。町は継続的な水質調査と周辺水域の生物調査の実施を県に求めた。
資料を入手した調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表は、市民が開示請求しなければ企業局がデータを公表しなかった事態を問題視した。また飲料水と湧き水や、嘉手納基地と普天間飛行場など、県環境部と企業局が別々に調査をしていることを指摘。「業務を縦割りにするのではなく、県全体で横断的に調査することが重要。県民の安全を守る責任者として念入りに調査してほしい」と訴えた。
(当銘千絵)