糸数慶子氏、高良鉄美氏を支持するが…社大党との確執消えず


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夏の参院選沖縄選挙区に向け、高良鉄美氏の支持を改めて表明する現職の糸数慶子氏

 夏の参院選沖縄選挙区を巡り、現職の糸数慶子氏は29日に市民主催の討論会に出席し、社大党が擁立した高良鉄美氏の支持を改めて表明した。ただ、高良氏は討論会に姿を見せず、糸数氏と社大党との確執も解消されたとは言えず、高良氏の「オール沖縄」候補に向けた先行きはいまだ視界不良だ。事態を重く見た県政与党や労組、企業などでつくる「調整会議」は社大党に一任してきた従来の方針を転換し、関係者間のしこりの解消に乗り出す方針を固めた。

 これまで4選出馬に意欲を示してきた糸数氏は討論会で、社大党に対して「私の思いを受け止めてくれなかった。葛藤もあったが、高良さんにバトンタッチしたい」と複雑な胸中を吐露した。

 一方の高良氏は出席予定だったが、社大党の判断として出席を見送った。社大党幹部は欠席の理由を「100人委員会の行動や討論会の趣旨などを踏まえて『参加すべきではない』と判断した」と語った。

 社大党の大城一馬委員長は今月8日、糸数氏と糸数後援会の幹部と面談し、高良氏とそろって会見することを要望した。だが、糸数氏から明確な回答は得られず、糸数氏と近い関係者は「高良氏と会見すること自体は否定していない。あくまで社大党が主導することに不満を持っている」と政党との確執を解説する。

 大城委員長と糸数氏の面談は、糸数氏が1月18日に離党届を提出して以来という空白期間があり、党内に「執行部はこの数カ月何もしてこなかった。無責任だ」との批判もくすぶる。

 大城委員長は取材に「党と糸数氏との間には溝がある。調整会議に任せることになった」と語り、調整会議による事態の打開に期待をにじませた。社大党は調整会議が高良氏の支援を決定した段階で、出馬表明会見を開く予定だ。

 (吉田健一)