県憲法普及協議会などが主催する憲法講演会「沖縄から鍛える民主主義」が憲法記念日の3日午後1時半から、浦添市てだこホール(同市仲間)である。講師として招かれた元共同通信記者でジャーナリストの青木理氏に沖縄と憲法などについて聞いた。
―憲法改正は必要か。
「個人的には天皇制は廃止すべきだと考えているので改憲派。ただ、9条は変える必要がない」
―なぜか。
「確かに日本国憲法は、戦後に押しつけられたものだ。ただ、武器を持たず戦争を放棄するという人類の理想が新たな戦争の歯止めになってきたのも事実。憲法を現実に近づけるのではなく、現実を憲法に近づけることこそ人間のすべきことだ」
―改憲の動きは加速している。
「果たして安倍晋三政権は改憲できるのか。賛否を問うた昨年の世論調査によると、現政権下での改憲には反対が多かった。政権の態度や振る舞いを見て、国民にも『このままでは良くない』という危機感があるのではないか」
―沖縄の印象は。
「日本で唯一、民主主義が生き残っている地域だ」
「共同通信時代、韓国に赴任していた。沖縄と朝鮮半島には共通点がある。不条理に押さえつけられると、あらがおうとする動きが出てくる。米軍基地など戦後日本の嫌なものを沖縄や朝鮮半島に押しつけてきた。日本の問題点を指摘し続ける人たちがいるのが沖縄だ。一方で、果実だけをむさぼっているのが政府や本土の人間。沖縄に来るといつも考えさせられる」
―どう向き合うべきか。
「前知事の故翁長雄志さんに言われた。本来の保守は基地を押しつけている痛みを理解し、寄り添ってきたが、現状は沖縄の抵抗を押しつぶそうとしている。名護市辺野古の新基地建設問題を通して『本当にそれでいいんですか』ということを考え、問い続けていくべきだ」
(聞き手・高田佳典)