prime

地価急上昇10倍も 浦西駅周辺 荒れ地が一転、中心街に モノレール延伸(1) 〈熱島・沖縄経済〉14


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
2019年夏の開業が見込まれるてだこ浦西駅(写真左)の周辺で開発事業が進められている=18日、浦添市

 沖縄都市モノレール延長区間の終着点、浦添市のてだこ浦西駅。2019年夏の開業を見据え、駅舎の整備が進められている。“駅前”には大型商業施設やホテルを含む複合施設、スポーツフィットネス施設などが建設される予定だ。「何もなかったこの場所が、老若男女が行き交うにぎやかな街に変化する」。開発事業を手がける市てだこ浦西駅周辺土地区画整理組合の又吉眞孝理事長は期待を抱く。

 浦西駅の周辺はもともと市街化調整区域で、18・7ヘクタールのエリアは畑や荒れ地などが占めていた。「起伏の激しい土地で人の立ち入りも難しかった。開発の話なんて持ち上がることすらなかった」と又吉理事長は振り返る。近隣にバークレーズコートなど商業施設が整備される中で、林野が残る手つかずの場所だった。又吉理事長は「通り過ぎるだけの地域だった」と語る。

 しかし、モノレール延長区間の最終駅建設が決まると、開発に向けた機運が一気に高まった。地権者らの組合が立ち上がり、浦添市と開発に向けた話し合いが進められた。15年6月には市街化区域への編入が決定。駅の北側約2万7600平方メートルのエリアでは住友商事とイオン琉球が大型商業施設の建設を計画し、学校法人やスポーツ施設の進出、複数のマンション建設計画などが提案された。

 「浦西駅周辺の土地を取得しようと思ったら、以前の価格では話にならない」。県内の不動産関係者は話す。市街化調整区域だった時期は「地価は坪5万円から10万円くらい」(同関係者)だったが、現在は坪50万円と最大10倍近くまで跳ね上がっていると見る。

 浦添市などは、駅南側の約1万6千平方メートルの場所にホテルや商業エリア、大型イベントが開催可能な会場などが入る複合施設の誘致を目指している。施設建設を手がける事業者の公募は3月に開始する予定だが、又吉理事長は「すでに県内外の複数の業者から問い合わせが来ている。注目度はかなり高い」と強調する。

 道路建設など開発地域の区画整理は22年頃まで続く予定で、施設建設も同時進行で行い、短期間で街づくりを完了させる方針という。浦添市の担当者は「基盤整備と街づくりを並行して行うことを目指す。このようなケースは全国的にも珍しいはずだ」と強調する。同市では浦西駅周辺を市東部の中心地域に位置付ける考えだ。

 浦西駅の駅舎は完成が近づき、周辺では重機が作業を続けるなど街づくりは一歩ずつ前進している。又吉理事長は「浦添の将来のモデルになるような街づくりをして、県内外に発信をしたい」と意気込む。モノレールの延長事業は、浦西地域に大きな変革をもたらそうとしている。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(琉球新報 2019年2月20日掲載)