ハンセン病への差別や偏見のない社会を目指す「ハンセン病市民学会第15回総会・交流集会」が18~20日、石垣市と宮古島市を会場に開かれる。県内開催は2年連続3回目。八重山地域での開催は初めて。開会に向けて市民学会の知念正勝共同代表ら関係者が10日、県庁で会見し、学会を通じて多くの県民に差別が根強く残るハンセン病問題の現状を知ってもらうとともに、関係者が安心して暮らせる社会づくりへの理解と支援を期待した。
市民学会は18日に石垣市民会館で同市出身の回復者らによるシンポジウムなどが開かれる。19、20日は宮古島市に会場を移し、総会やシンポジウム、分科会などが行われる。
知念共同代表は「回復者は今も隠れて暮らし、ハンセン病家族訴訟でも名乗り出る人は少ない」と関係者が差別におびえ生活している実情を訴え、「医療の支援体制を含め問題の解消を図るためにはどうしたらいいかみんなで考えてほしい」と呼び掛けた。
八重山のハンセン病問題を考える会の大田静男代表は八重山でハンセン病に向けられる差別の深刻さを強調。「理解は一番遅れている。八重山開催を意義あるものにしたい」と話した。
会見前には謝花喜一郎副知事と面談し知事の参加などを要請した。謝花副知事は自身が学会に出席するとし「医療体制の整備など対応しなければならないと思っている。偏見、差別のない社会の実現に取り組みたい」と述べた。
ハンセン病は治療できる病気だが、誤った認識が偏見や差別を助長し、国の強制隔離政策で人権侵害が深刻化。国は2001年に裁判で敗訴し責任を認め謝罪したが、関係者らは依然として苦しみ続け、現在は家族が裁判で差別を訴え闘っている。