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基地上空のドローン撮影を規制へ 災害時の制限懸念、事故の危険矮小化も… 問題点まとめました

 小型無人機ドローンの飛行禁止区域に自衛隊や在日米軍施設上空を追加したドローン規制法の改正案が衆院を通過し、参院で審議される。同改正案が成立すれば米軍専用施設の7割が集中する沖縄では、32カ所の米軍施設周辺だけではなく、27カ所の提供水域、20カ所の提供空域でも小型無人機の使用が禁止される可能性がある。災害時に自治体が被害を確認する際も、対象となる防衛関係施設・提供区域は許可が必要となり、情報収集が制限され県民の生命と財産に直接影響を及ぼしかねない事態も想定される。


小型無人機で撮影した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で進められる新基地建設工事=3月5日、名護市辺野古

 米軍施設周辺や提供区域、自衛隊基地など禁止区域での使用も司令官など施設管理者の許可が必要となる。防衛省は米側に「報道の自由との関係を含め、適切に同意の可否を判断」するよう要請したが、米軍施設周辺の使用禁止は米側も要請しており、同意する可能性は低いとみられる。

 防衛省も米軍施設の上空や周辺でヘリやドローンを飛ばさないよう求めるポスターやビラを、同省や全国の各防衛局のホームページ(HP)に掲載している。報道側に小型無人機による取材に対し自粛を求めるなど米側に配慮してきたが、今回の法改正で法に基づいた取材規制ができるようになる。

 小型無人機の使用が禁止されるのは日米地位協定により提供されている施設および区域全般。政府は飛行禁止指定について米側との協議を踏まえ「必要性を鑑みて(防衛相が)判断する」として、全ての区域が指定されるものではないとの認識を示しているが、具体的な禁止区域は明らかにしていない。




広範囲に規制の恐れ


 ドローン規制法改正では、小型無人機ドローンの飛行禁止区域に県内の米軍基地や自衛隊基地の上空を追加する。米軍基地が集中して広い水域や空域が米軍に提供されている沖縄では、広範囲にわたって規制される恐れがある。滑走路やヘリパッドを抱える米軍の嘉手納基地や普天間飛行場のほか、名護市辺野古の新基地建設予定地も飛行禁止区域に指定されるとみられる。改正法が成立した場合、自衛隊では施設や敷地の上空のみが飛行禁止区域に指定され得る。制限水域などは含まない。一方、米軍については陸地の基地上空のみならず、提供水域の上空や空域も対象となる。

 飛行禁止の範囲は改正法が成立後に政府が指定することになり、全てが飛行禁止となる訳ではない。国会の審議で、防衛省は米側との協議を踏まえ「必要性を鑑みて(防衛相が)判断する」と説明している。具体的にどの施設・区域の上空を指定するかについては明かされていない。




事故の危険 矮小化も


日本政府や米軍が「不時着水」と発表した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの大破した機体。本紙小型無人機で撮影=2016年12月14日、名護市安部

 米軍はこれまでに基地内や洋上で発生した米軍所属の航空機事故について「ハードランディング(激しい衝撃を伴う着陸)」や「不時着水」などと発表してきた。琉球新報はこれまでの事案について空撮の写真や機体の損傷状況などの取材を通し、個別に事案を判断してきた。時には米軍などの発表とは異なる形で「墜落」と表現した。同法改正案は、事故現場近隣に報道規制を敷き、“密室化”することで事案の重要性を隠し、危険性を矮小(わいしょう)化する可能性がある。

 1998年7月23日に宜野座村のキャンプ・ハンセン内で発生したUH1ヘリ墜落事故について米軍は当初、「墜落ではなく、軽い事故だった」などと説明していた。琉球新報は事故の翌朝、写真を空撮した。UH1ヘリの機体が激しく壊れて森に突っ込む様子が確認された。

 米海兵隊は本紙の報道に「事実ではない」などと訂正を求めてきたが、空撮の写真を提示すると訂正を撤回した。

 2015年8月12日にうるま市伊計島南東海上の米海軍艦船上で発生した米陸軍のMH60ヘリ墜落事故も同様だ。在日米軍は「訓練中にハードランディング(激しい衝撃を伴う着陸)をした」などと発表した。だが、共同通信社の空撮写真では尾翼が折れた機体が確認できた。本紙はこうした状況から「着艦に失敗し墜落」と表現した。

 16年12月13日には名護市安部沖に米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイが墜落した。

 米海兵隊や政府は「不時着水」などと発表した。だが本紙記者が撮影した写真には機体が真っ二つに折れたオスプレイが確認された。




県内11自治体 保有や協定


 災害時などに備えてドローン事業者と協定を締結したり、市町村としてドローンを保有したりしている市町村は県内に11市町村ある。各市町村いずれも災害発生後に人が立ち入ることが難しい場所などで飛行させ、迅速な被害状況の把握や救助者の発見につなげたい考えだ。

 名護市や那覇市などは消防がドローンを保有している。本島北部地域にキャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセン、北部訓練場など広大な米軍施設がある。法改正で基地上空の飛行が制限されれば、基地から派生した災害が発生した際、迅速な被害把握が難しくなる可能性がある。