【記者解説】ドローン規制改正案、改正されたらどうなるの? 県民生活に関わる「知る権利」を侵害する恐れ


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 小型無人機ドローンの飛行禁止区域に米軍基地や自衛隊施設を追加するドローン規制法の改正案は、在日米軍などの軍事活動を監視する目を覆う恐れがある。広大な基地や訓練区域が集中している上に新たな基地建設が強行される沖縄で影響は大きい。法改正はテロ対策を名目にして、県民の安全な生活と密接に関わった国民の知る権利を侵すものだ。

護岸建設中に海に漏れ出る汚濁=2月16日、名護市辺野古(沖縄ドローンプロジェクト提供)

 軍隊は軍事機密を持ち、活動を外から見えないようにする傾向にある。安全や戦略上の理由はあるが、広大な米軍基地や訓練区域が県民の生活圏に存在する沖縄では軍事活動が県民の暮らしに直結するため、見張りと検証が不可欠だ。

 米軍機による事故の際も、報道機関などは小型無人機による空撮写真で事故の実態を県民に伝える必要がある。米軍や政府が「墜落」という表現を避け、事故の危険性を小さく見せようとする傾向がある中で、一般市民が事故の程度や被害状況を判断する材料を提供するためだ。

 普天間飛行場の名護市辺野古移設でも空撮写真により、政府が進める基地建設の実態が明らかになることがある。今年2月、市民有志の「沖縄ドローンプロジェクト」が小型無人機で、政府の護岸建設工事で沖合に汚濁が広がる様子を捉えた。本紙などが報じた後、沖縄防衛局は追加調査を実施し、工事に関する環境影響を話し合う会議で議題に挙げた。「一時的だ」と結論付けたものの、監視員の常時配置を決めた。小型無人機による撮影が権力に対する一定のけん制機能を果たしたのは間違いない。

 これまで防衛局は報道機関に対し、基地建設現場周辺での小型無人機による撮影を自粛するよう呼び掛けてきた。政府関係者は「今は改正法が成立していないのであくまで『お願い』だ」と話していた。だが改正法が成立すれば、防衛局や米軍が撮影を止める法的根拠を得ることになる。

 (明真南斗)