【記者解説】ドローン規制法の何が問題なのか


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<解説>
 ドローン規制法改正案の審議で、政府は具体的な対象施設やその周辺300メートルを規制区域とした根拠を示さなかった。米軍提供区域は水域も規制対象となり得るとされている。名護市辺野古の新基地建設現場などの取材を規制することで、国民の知る権利を制限する狙いもあるとみられる。

 沖縄防衛局はこれまで、米軍基地上空を飛ぶドローンについて、基地を離発着するヘリなどと衝突する「潜在的危険性」があるとの米軍の指摘を受け、キャンプ・シュワブ上空の飛行自粛を報道機関に対したびたび求めてきた。

 一方、米軍は「運用上の理由」を挙げ航空機騒音規制に反した夜間飛行を繰り返しているほか、所属機が学校の上空を飛んだことを示す写真を示しても事実を否定してきた。米軍の運用を優先してきた日本政府のこれまでの対応を鑑みれば、米軍の意向に沿って規制が実施される懸念は払拭(ふっしょく)できない。

 ドローンが規制範囲内を飛行しているか否かをどう判断するかも不透明だ。対象区域外でも「違法行為」と認定される可能性は否定できない。米軍の司令官に飛行許可を得られる可能性は低いとみられるが、規制区域外でも日米当局によって民間のドローンが恣意(しい)的に排除されることも予想される。

 立憲民主党が提出した、報道目的の場合は防衛関係施設上空の飛行を原則として認めるとした修正案は、与党などが反対し否決された。報道目的の飛行を認めたくない政権の本音が反映された格好で「報道の自由に配慮する」とした政府答弁の信憑性に疑問符を付けた。

 対象施設から300メートル以内も規制範囲となれば、民間地の所有者の権利を制限することにもつながる。日米両政府は運用前に立ち止まって議論することが求められる。
 (知念征尚)