5・15平和行進 求めた沖縄の姿へ 新基地阻止、拳高く


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基地も核も戦争もない世界の実現を目指し拳を上げる「5・15平和行進」の参加者ら=17日午後4時40分ごろ、糸満市伊原

 沖縄が日本に復帰して47年。復帰時、沖縄側が求めていた「即時無条件全面返還」はいまだ実現せず、基地機能強化が続く中で「基地のない平和な沖縄」への道はほど遠い。「5・15平和行進」には梅雨空の下、2コース計820人が参加。沖縄が求めてきた復帰の姿を訴えながら、強権的に新基地建設を進める安倍政権に抗議の声を上げた。行進に参加していない県民も沿道から声援を送ったり、手を振ったりして激励し、平和への歩みを後押しした。

■南部コース 新基地阻止、拳高く

 本島南部の沖縄戦跡を巡る「南部・戦跡コース」は、那覇市泉崎の県庁前の県民広場で出発式が開かれ、315人(主催者発表)が参加した。午前9時半から出発した参加者は自衛隊那覇基地や糸満市の白梅の塔を巡り、最終地点のひめゆりの塔に到着した。

 梅雨入り直後で小雨がぱらつく中、参加者は「辺野古基地建設を止めるぞ」「基地のない平和な沖縄をつくろう」などとシュプレヒコールを上げながら、19・2キロの道のりを歩いた。

 平和行進への参加は初めてという横浜市の公務員・内田朝徳(とものり)さん(53)は「沖縄についての報道に触れるたびに、『いつか来てみたい』と思っていた。実際に来て基地負担の現状を改めて痛感した。この機会にもっと沖縄のことを知り、平和の意味について考えたい」と話した。

■中北部コース 「軍事拠点にするな」

 【北部】「中北部・基地コース」には県内外から約350人が参加した。新基地建設が進む名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前をスタートし、金武町の米軍キャンプ・ハンセンゲート前まで16・9キロを歩いた。

 一行は「基地のない沖縄をつくろう」などとシュプレヒコールを上げながら歩みを進め、約7時間かけて金武町に到着した。ハンセンに向かって拳を突き上げ、「沖縄を軍事拠点にするな」と声を上げた。

 沖縄市から参加した元教員の久田房子さん(63)は「選挙で何度も(新基地反対の)民意を示しているのに伝わらない日本という国に憤りを感じる」として「日本復帰から47年を経ても米軍基地がなくならない沖縄の現状を、行進を通じて訴えたい」と話した。

 先頭に立って一行を率いてきた平和行進副団長の久住武さん(56)は「復帰して47年。基地負担に苦しむ現状は変わらない。この問題は沖縄だけではなく全国の問題だ」と訴えた。