部活の指導、休憩時間が曖昧…教員の多忙さに危機感 教師の「魅力」考えるシンポ


この記事を書いた人 大森 茂夫

 多忙な教員の働き方について議論する「教師の『魅力』を考えるシンポジウム」が18日、琉球大学で開かれた。名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授が講演し、県内外の現職教員や本紙記者らが意見を交わした。登壇者は部活動などを例に「子どものため」という名目で教員が多忙にさらされている現状を報告。学校現場で改革が進まない空気感や、時間外手当は支給せず、基本給に一律4%を上乗せする制度を定めた教職員給与特別措置法(給特法)の問題点を指摘した。

教員の働き方について意見を交わす(右から)名古屋大学大学院の内田良准教授、琉球新報の黒田華記者、公立中学校教諭の神里竜司氏=18日、西原町の琉球大

 内田氏は多忙さの要因として挙げられる部活動について、教育課程外で制度設計がないことを指摘。「国語は指導要領で内容や時間数が決まっているが『自主的』な部活動は暴走する可能性がある」と話した。部活動の活動時間が減少に転じていることも報告し「世の中、変えられる。希望を持ってほしい」と訴えた。

 ツイッターで給特法の改正を訴える県外公立高校教諭の斉藤ひでみ氏(仮名)は生徒全員が部活動に強制入部させられる制度の廃止に取り組んだことを報告。県内中学校教諭の神里竜司氏は休憩時間の設定があいまいなまま放置されていることや、教師としての楽しさと業務量削減の間で悩んでいる心境を話した。

 琉球新報の黒田華記者は家庭の貧困率と学力テストの結果が相関関係にあることを指摘し「親も教師も長時間労働にさらされ、子どもが育つ権利を奪われている。周囲は学校に求めるだけでなく業務の引き算を一緒にやっていくことも必要だ」と話した。

 シンポジウムはクラウドファンディング「YUIMA(ユイマ)」を活用し、琉大教育学部生が企画した。