「沖縄を軍縮の要に」豊下元関西学院大教授ら5氏が登壇 対外問題研シンポ


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 沖縄対外問題研究会は18日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で20周年記念シンポジウム「辺野古を止める構想力」を開催した。元関西学院大教授の豊下楢彦氏が基調講演し、沖縄の基地問題や米中対立にみる世界的な軍事力強化に対し、沖縄から軍縮を訴える必要性を訴えた。

辺野古問題の解決法について意見を述べる登壇者ら=18日午後、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館2階講堂

 豊下氏は、1952年4月のサンフランシスコ講和条約3条により「80万人もの沖縄の人々が無憲法・無国籍の異常な状態に置かれた」と主張。60年に国連が植民地独立宣言を採択し「3条が死文化しても政府は米側に抗議せず『東アジアに雲一つなく空が青くなるまで米国は沖縄を支配する』とのブルースカイ・ポリシーが今日も続いている」と指摘した。

 北方領土を巡る日ロ交渉の場で「安倍晋三首相はプーチン大統領に対し、返還後も2島に米軍基地を置かないと発言した。地位協定においても日本側に拒否権があると表明した」とした上で「当面の普天間の危険性除去に対し、米側に航空法の適用を要求することができるはずだ」と述べた。

 米中対立などにより各国の軍事力強化が続き、2018年度には世界の軍事費が約203兆円となった。豊下氏は「脅威があるから軍拡だというが、軍拡こそが脅威だ。その世論をいかに形成するかが重要だ」と強調した。その上で軍縮に関する行動計画をまとめた国連の「軍縮アジェンダ」を取り上げ「沖縄が軍縮の要となるべきだ」と訴えた。

 その後、有識者らが辺野古新基地建設の問題点や解決法に関して討論した。同研究会代表で琉球大学教授の我部政明氏が進行役を務めた。