ドローン規制法の改正案が参院本会議で可決・成立したことに関し、米海兵隊太平洋基地(MCIPAC)は20日までに本紙の取材に応じ、取材目的を含めた在沖海兵隊の施設・区域での小型無人機(ドローン)の飛行について「施設や周辺住民に危険が及ぶ恐れがある」として、原則許可しない考えを示した。改正ドローン規制法成立を受けて政府は在日米軍施設や米軍への提供水域・空域など具体的に対象となる飛行禁止区域について米側と協議する方針だが、米側のこうした意向を踏まえ広範囲に設定するとみられる。
米海兵隊がドローンの飛行禁止について方針を明らかにするのは初めて。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の代替施設建設現場での取材については「権限のない小型無人機の米軍施設、空域、水域での飛行が近隣地域や住民、そこで働く人々の安全と安心を脅かしかねない事態を招いている」と指摘。「在日米軍と日本国民の安全と安心が、米国の指導部の意思決定を左右する」として、事実上、取材目的の小型無人機の使用を許可しない考えを示した。
辺野古移設に伴う埋め立て工事現場周辺では、取材用の小型無人機が何らかの原因で飛行困難となる事例が発生しているが、妨害電波の発信など対ドローン防御システムを実施しているかどうかについては「運用上の保障や安全に関わるため特定の防護対策については答えられない」として否定しなかった。
本紙の書面での質問に、MCIPAC情報戦略部のアンドリュー・アランダ少佐が回答した。アランダ少佐は海兵隊施設での小型無人機の使用に対し、米国が、米軍施設の運営、警護および管理のため必要な全ての措置を取ることができるとした日米地位協定3条を挙げ「米軍施設・区域での個人の小型無人機の飛行を禁じている」とした。
禁止区域での飛行には司令官など施設管理者の許可を48時間前までに得ることが必要となる。政府は米側に報道の自由への配慮を要請し米側から「趣旨を理解した」との回答を得たとしているが、米側は本紙の取材に対し「米軍施設と区域、運用上の安全を守るために必要な対策を講じる権限がある」としており、報道への配慮について言及しなかった。
(松堂秀樹)