沖縄県企業局は17日、有毒性が指摘され、規制に向けた国際的な議論が進んでいる有機フッ素化合物「PFHxS」について、北谷浄水場や米空軍嘉手納基地周辺の河川での検出値を初めて公表した。公表した検出値は4月2、10、17、22の4日間のもの。7市町村に供給する北谷浄水場の浄水で1リットル当たり平均12ナノグラムだった。嘉手納基地を通る大工廻川では同平均220ナノグラムに上り、7サンプルで最も高かった。企業局は「現段階ではPFHxS規制値が存在せず、値に対する評価は難しい。引き続き情報収集する」と述べるにとどめた。
PFHxS汚染をめぐっては、米軍基地で使われる泡消火剤などの影響が指摘されている。今回の検出値公表は、京都大の調査でサンプル調査を行った宜野湾市民から全国平均の53倍に上る血中濃度が確認された問題を受けた対応。
PFHxSは汚染物質の使用禁止などを規定するストックホルム条約の締約国が2021年春の会議で製造や輸出入、使用の禁止を決める可能性がある。県企業局はこうした情勢を踏まえ、北谷浄水場や水源河川で昨年度からPFHxSの計測に着手したが「分析ができていない」として値は公表していなかった。
環境汚染問題に取り組む調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表は「県が規制対象となる前にPFHxSを計測し、公表した対応は評価できる」とした。
その上で「大工廻川で高濃度で検出されたことからも基地由来の汚染は明らかだ。PFHxSについて、海外では国の規制を待たずに自治体が独自に規制を設ける動きもある。県は待つだけでなく、そうした先進事例を調べ、自ら政府や米軍に対応を強く迫る必要がある」と指摘した。
(島袋良太)