沖縄県内7市町村に水道水を供給する北谷浄水場から有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)などの有害物質が検出されている問題で、金城武県企業局長は23日、県庁で記者会見を開き、米空軍嘉手納基地が流出源である可能性が高いとの認識を重ねて示し、基地内への早期の立ち入り調査の必要性をあらためて強調した。
県企業局によると、北谷浄水場の浄水のPFOS・PFOA値の平均は、直近の2018年度で1リットル当たり29ナノグラム。米環境保護庁(EPA)の生涯健康勧告値は同70ナノグラム。金城氏は「PFOSとPFOAの合計値は直近の2018年度の合計でEPAの生涯勧告値より低い値であり、安全なレベルに低減されている」と説明した。
金城氏はPFOSやPFOAは水道水中の濃度に関する規制値がない現状を説明した上で、「県民の不安を解消するには国が有機フッ素化合物に関する基準を設定し、水道事業者が適合することが肝要だ。国に設定を働き掛けていく」と述べた。
一方、県独自の基準設定については「高度な分析が必要で、国の専門審議会で議論して決めるべきだ」と否定的な見解を示した。
県の見解について名桜大の田代豊教授(環境科学)は「人間の健康に対する影響は分からないが、最近の血中濃度に関する調査を見ても、北谷浄水場の供給地で人間への影響が出ていることは確かだ。国は知見を集めて有機フッ素化合物に関する水道水の基準を早急に作る必要がある。海外では基準があり、情報もある」と指摘している。