クメジマボタル川汚染で減少か 環境省が現地調査へ


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クメジマボタル(久米島ホタルの会提供)

 【東京】環境省は「国内希少野生動植物種」に指定されているクメジマボタルが、家畜の排せつ物や堆肥が川に流出した影響で数を減らしているとの指摘を受け、保護官を現地に派遣し調査する方針を固めた。

 浦地川下流にあるホタルの保護観察施設「久米島ホタル館」によると、同館周辺での2018年の出現数は168匹で、前年の392匹から大幅に減った。既に出現期が終わった19年は321匹に増えたが、不安定な状態が続く。

 クメジマボタルは農地開発などにより生息環境が脅かされてきた。赤土流出対策の実施や、川底にたまった赤土を子どもたちと共に取り出し、ビオトープづくりにつなげるなどの環境改善の取り組みを続けた効果もあり、2012年以降はホタル館周辺での出現数は回復傾向にあった。

 一方、近年は畜産農家が家畜の排せつ物や堆肥を野積みするようになったという。それが雨が降った際に川へ流出して富栄養化などにつながり、幼虫期を川で過ごすクメジマボタルに影響を与えている可能性がある。

 同館の佐藤文保館長は「牛ふんに湧くうじや昆虫退治の農薬の影響も考えられる。ホタルを守ることは川を守り、海を守ることにもつながる」と訴えた。

 15日の参院沖縄北方特別委員会で秋野公造氏(公明)が問題を質疑した。環境省は現地調査を行う考えを示し「生息環境の改善方策を考える」とした。