アセス審査会が辺野古保全措置に疑問「適切か確認できない」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
埋め立て工事が続くキャンプ・シュワブ沿岸部=3月13日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 県環境影響評価審査会(会長・宮城邦治沖国大名誉教授)が29日、浦添市のピーズスクエアで開かれた。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、沖縄防衛局が提出した2017年度の事後調査報告書に対する答申案を事務局が提案した。答申案は新基地建設工事の工程や工法が当初計画から変更されたことについて「変更後の工事計画に沿って適切に環境保全措置を講じる必要があるが、講じられた措置が適切なものか確認できない」と指摘した。工事に伴う海上作業が始まって以降、沖縄防衛局が確認していたジュゴン3頭のうち1頭が死亡し、2頭が行方不明となっていることについても原因究明や生息状況の把握に関する追加調査を求めた。

 この日の審査会で示された答申案に委員が出した意見を踏まえて委員会は今後、知事に審査結果を答申する。県はこれを受けて沖縄防衛局に対応を求める知事意見を出す予定。

 海上工事の後に辺野古周辺海域からジュゴンの行方が分からなくなっていることについて答申案は「工事による影響がないと断定できない限り、工事による影響の恐れがある」と指摘。海上工事や作業船の航行による水中音の分析、他の海域に生息域が移った可能性を調べるための海藻藻場の調査などが必要だとした。沖縄防衛局が移植対象のサンゴを移植せず、汚濁防止膜の設置で対応可能だとしてK8護岸の一部を建設したことに、答申案は「妥当性の検証とともに、周辺のサンゴ類の生息状況を調べ、影響があれば必要な措置を講じさせること」を求めた。