【記者解説】万国真梁会議の目的は? 膠着する基地問題 新たな解決策の提示に注目


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 玉城デニー知事が米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議を発足させたのは、沖縄県が主張する米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の不要性や基地負担軽減について有識者の研究や経験などを基により説得力のある政策をまとめるためだ。知事の肝いりで設置された会議で、膠着(こうちゃく)状態が続く基地問題を打開する新機軸が打ち出せるかどうか注目される。

 30日の初会合では各委員が基地の整理縮小などについて意見を出し合い、問題意識を共有した。5委員は沖縄の基地問題に詳しい学者や論者で、それぞれ積極的に研究成果や見解を発信してきた。有識者が一堂に会し、それぞれの見解を共有することによってもたらされる相乗効果によって、これまで提示されていない新たな解決案が出されることが期待される。

 普天間飛行場移設問題について、5委員はこれまで在沖海兵隊の駐留への疑問や辺野古移設不要論などを唱えており、政府方針を肯定する結論に至る可能性は低い。ただ、柳沢協二委員長は政府が進める辺野古移設の代替案を示すことは否定しており、防衛省関係者は「おなじみの顔ぶれで代替案も出さず、何をするのか」と冷ややかにみている。

 政府が繰り返す「辺野古移設が唯一の解決策」という言説を根底から突き崩す反論を示せるかが焦点となるが、政府は辺野古沿岸部での土砂投入を着々と進めており、委員らには議論を深めると同時に迅速に県に提言を示すことも求められそうだ。

 普天間飛行場の早期返還と辺野古新基地建設阻止という公約実現に向け、会議の成果を最大限に生かせるかどうか、知事の手腕が問われている。
 (明真南斗)