玉城デニー知事は31日、県庁で定例会見を開き、米軍の嘉手納基地や普天間飛行場周辺の浄水場や河川から高濃度の有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)が検出されている問題について「基準を明確に設定し、水道事業者は設定された基準以下に、しっかり適合するように水道水を提供することが肝要だ」と語り、国に基準設定や立ち入り調査を要請する考えを示した。識者からは県の要請内容に「市民の危機感と隔たりがある」と疑問の声が上がっている。
玉城知事は4月の定例会見で有機フッ素化合物について「現状で健康上の問題はない」と述べ、事実上の「安全宣言」をしていた。早ければ6月にも上京する予定だが、玉城知事は記者会見で「具体的な調整はこれから進めたい」と述べるにとどめた。国への要請では基地内への立ち入り調査、米軍が実施した文献調査の結果開示も求める。
防衛省は2017年に嘉手納基地内での水質調査を計画したが、米軍の同意を得られず基地外での調査となった経緯がある。環境省も14年から「基地内モニタリング調査」の実施場所を基地の外に変更している。
この件を調査で明らかにした調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表は「自身もできていない国に立ち入りのあっせんを要請して意味があるのか」と指摘した。県企業局が18年に作成した資料で有機フッ素化合物の基準設定を困難視していたことが明らかになっている。文書を入手した河村氏は「国にボールを投げて事態の収束を図るような無責任なことはしないでほしい」と求めた。