ゆいレールの3両化の時期を前倒し 国が補助率を8割に


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沖縄都市モノレール

 【東京】宮腰光寛沖縄担当相は31日の会見で、沖縄都市モノレール(ゆいレール)の3両編成化を早期に進める予算措置として、3両化にかかる国の補助率を8割に引き上げる方針を表明した。県や市がモノレール社を財政的に支援し、同社が資金調達計画を立てて車両を発注できる環境にすることも事実上の条件にすることも分かった。一方、3両化を目指す沖縄都市モノレール社や県、那覇市、浦添市の4者の関係者は琉球新報の取材に対し、2030年までの実現を目指す現在の3両化計画を練り直し、時期の前倒しを検討する考えを明らかにした。

 国の支援策の公表を受け、玉城デニー知事は3両編成化について「モノレール以外の沖縄の公共交通政策にも波及効果が生まれる取り組みだ。一日も早い実現に向けて具体的に取り組んでいく」と、前倒しで実現する決意を示した。「思った以上に早い決断をいただいた。我々の決意も酌んでの早期の発表だと思う」と喜んだ。

 国がまとめた支援策は、ゆいレールの浦添延長事業でも活用されている「ハード交付金」の効果促進事業を拡充するという内容。本来6割程度の補助率を3両編成化に関する事業を対象に8割へ引き上げる。内閣府は来年度に向けた概算要求で制度要求する方針だ。

 3両化を進めるに当たってはモノレール社側の負担も必要となる。だが、同社は債務超過が続き、金融機関から支援を受けることが難しい状況にある。このため政府は県や沿線自治体に対し、追加出資や、「DES」と呼ばれる貸付金の株式化などを通じた経営改善への協力を求めているという。

 モノレール社側は3両編成化に200~290億円程度の費用がかかると試算しており、多額の地元負担が生じて3両編成化が遅れる懸念があった。

 一方、ゆいレールは今年10月1日に浦添延長区間の開業や、20年3月末の那覇空港第2滑走路運用開始を控える。数年間の短期で利用者数の大幅な増加が見込まれる中、国は会社側が30年をめどとする3両編成化の大幅な前倒しが必要だと判断した。