経済

「はいたいコラム」 元トヨタの直売所カイゼン

 島んちゅのみなさん、はいた~い! 直売所で買い物するのは楽しいですよね。全国にはたくさんの直売所やファーマーズマーケットがありますが、実は生産者の高齢化が進み、農産物が集まりにくいなどの課題を抱えているところは少なくありません。

 そんな中、静岡県御殿場市にある沼田ロマンチック街道の地元有志で作った直売所「農の駅」は2014年のオープン以来わずかながらも売り上げを伸ばし続けています。

 富士山を一望できる気持ちのよい田園地帯で、ブルーベリーの摘み取り農園の運営を皮切りに、住民自ら貯金を出し合って建てた手作りの直売所です。

 出荷する会員は120人。売り上げ管理システムを導入し、販売速報が会員にリアルタイムでスマホに届くため、売れ残りを極力減らせます。そうして地元の人も買いやすい価格設定に努めています。

 月20万円の売り上げを誇る土屋哲三さん(69)は、そのコツを「QCですよ」とおっしゃいました。「ああ、QC!それであのー、QCって何ですか?」恥ずかしながら尋ねると、「クオリティ・コントロール、品質管理です」とのこと。土屋さんは、トヨタの技術部門を退職して、ふるさと沼田へ戻り、趣味だった野菜づくりを本格的に始めました。今では年間60品目を作っています。

 「QCとは、まず課題の洗い出しです。他の人とバッティングしないよう、年間の作付け計画をエクセルで作っています」。さらに、今人気の野菜をインターネットで調べて種を取り寄せるなど、常に新しい情報を仕入れて“カイゼン”しています。

 この日、土屋さんが30袋出荷したのは「あまうまスナックエンドウ」という品種。なんと20種類のスナップエンドウを試験栽培し、かつての同僚や知り合いにサンプルを送って感想を集め、食べ比べ会を開いて決定した開発1年がかりの自信作です。

 土屋さんのあまうまスナックは他より3割高い128円!にもかかわらず、大好評で売り切れるそうです。こうした影響で、なんと90歳のおばあちゃんがやる気を出し、山菜を出荷するようになったそうです。1人のやる気が、周りを変える。すごい効果です。

 経済効果も大事ですが、地域に魅力をもたらすのは、こうしたやる気効果ではないでしょうか。小さな直売所に大きな希望をもらいました。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)









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