陸上自衛隊の教科書(教範)で、地対艦誘導弾(ミサイル)が火災に巻き込まれた際に爆発するまでの時間は約2分とし、その際は1キロ以上離れるか、物陰に隠れるなどの対応を示していることが3日までに分かった。軍事評論家の小西誠氏は沖縄県宮古島市、石垣市へのミサイル配備と関連付け「有事の際はもちろん、平時でも火災の可能性は避けられない。住民は約2分で1キロも遠くへどのように逃げるのか」と疑問視した。破壊力が大きいミサイルの弾薬庫は危険性が高いため山中に設けるのが通例とし「生活圏の近くにその弾薬庫を置くこと自体がおかしい」と指摘した。
教範は小西氏が情報開示請求で入手した。
教範には地対艦誘導弾が火災に巻き込まれた場合、「弾頭が火災に包まれてから、発火、爆発等の反応が起こるまで約2分」「1キロ以上の距離又は遮蔽(しゃへい)のかげ等に避難する」と記載されている。
小西氏が入手したのは陸自武器学校の教科書「火砲弾薬、ロケット弾及び誘導弾」とその関連資料で、全647ページ。各種弾薬の詳細な構造や機能、具体的な取り扱い方法を解説している。
今年3月末に警備隊380人で開設された宮古島駐屯地には、2020年以降にミサイル部隊も配備される計画だ。それに伴って防衛省が保良地区に建設を計画している弾薬庫が完成すれば、地対艦・地対空ミサイルも保管される見通しだ。
弾薬庫の建設予定地付近には住宅や道路などがあり、住民が行き来する生活圏となっている。
石垣島には500~600人規模とされるミサイル部隊が配備される計画がある。駐屯地内に誘導弾の弾薬庫が設置される予定で、3月に駐屯地の造成が始まった。駐屯地の近隣には開南集落がある。
(明真南斗)